「本来の姿には程遠い」5回2失点で今季初勝利も“見切り発車”の菅野智之は交流戦Vを狙う巨人の“救世主”となれるのか?
巨人の菅野智之(33)が11日、福岡のPayPayドームで行われたソフトバンク戦に今季初登板、5回93球を投げて4安打2失点とゲームを作り、今季初勝利を挙げた。4-2勝利でチームは交流戦首位タイに浮上した。菅野は最速150キロをマークしたが、球威と制球力は本来の姿とは程遠く“見切り発車”のような復活星。エース菅野は、先発整備が課題となっている巨人の“救世主”になれるのだろうか。
「すごく辛い時間でしたけど少し報われたような気がする」
待ちに待ったエースが帰ってきた。敵地でのヒーローインタビューに指名されたのは、菅野だった。今季初登板で初勝利。
「すごく辛い時間でしたけど、今日少し報われたような気がするので、また頑張っていきたい」
菅野は照れ笑いを浮かべた。
そしてこう続けた。
「実戦も3試合目だったので、とにかく行けるところまでしっかり投げようと。あまりいい内容じゃなかったですが野手の方に感謝。僕の後ろで投げた中継ぎのピッチャーも本当に頑張ってくれたので次回はもっと結果で示していけるように頑張ります」
菅野が語る通り、4安打2失点4奪三振4四死球の内容では、まだ本来の姿には程遠い。
開幕投手に内定していた菅野は、原監督からすべての調整を任されていたが、開幕直前の3月18日、オープン戦の日本ハム戦で右ヒジに違和感を訴えて降板。回復の時間が長引き、プロ入り初めて開幕2軍スタートとなり、リハビリから調整を重ねて、ファームでの2試合の試運転を経て、ようやく今季初登板を迎えた。
プレーボール後、いきなり先頭の中村晃を追い込んでから5球もファウルで粘られた。10球を要した末に抜いたスライダーで三振に仕留めるも、続く牧原に甘く入ったスライダーをセンター前へもっていかれた。3番の近藤は148キロを示したインローのストレートで三振、4番の柳田も、外の変化球でタイミングを外しボテボテのショートゴロに打ち取ったが、菅野は首をひねってベンチへ下がった。ここからも、綱渡りのようなピッチングが続く。
2回は先頭の柳町を四球で歩かせ、3回も先頭の甲斐にフォークを拾われて、レフト前ヒットを許すと二死から近藤、柳田に連続四球で、満塁のピンチを招いた。ストレートも変化球もすべてが外角高めへ抜ける。リリースポイントを制御できていなかった。柳町にはジャストミートされたが打球はラッキーにも三塁岡本の正面。ツキもあった。
すでに球数は64球に達していた。
ついに4回に先制点を与えてしまう。一死からまた制球の乱れで、野村に死球。続く三森には一、二塁塁間を破られて無死一、三塁となった。第1打席にもヒットを放ち、ここ5試合で、打率4割と好調の甲斐を迎えたが、ソフトバンクは、なんと初球にセーフティスクイズのサイン。たまたま高めにいったカットボールをポーンと打ち上げキャッチャーファウルフライ。ソフトバンクベンチの消極策に助けられた。だが、盗塁を許して一死二、三塁とされてから、2打席2三振の中村晃にも、外角高めに浮いた147キロのストレートを逆方向に弾き返され2点を先制された。
だが、巨人には「なんとしても菅野に勝たせたい」という一体感があった。いや「エースの復帰戦で負けるわけにはいかない」という危機感か。