名門ミラン入りを示唆した鎌田大地が挑むビッグクラブの壁
セリエAの名門ACミラン移籍が有力視される日本代表MF鎌田大地(26)が14日、自身の去就に対して初めて具体的に言及した。エルサルバドル代表との国際親善試合(15日、豊田スタジアム)へ向けた前日練習後に取材対応した鎌田は、新シーズンへ向けて「チャンピオンズリーグ以上で、4大リーグ以上でやれるのは間違いない」と、暗にミラン入りが濃厚であることを示唆した。ブンデスリーガ1部のアイントラハト・フランクフルトを6月末に退団する鎌田を巡っては強豪クラブの間で争奪戦が勃発。ミランが最有力とされてきたが、クラブの体制が変わったことなどで白紙に戻ったという現地報道もあった。
「まだサインをしていないので100%とは言えないが」
注目を集めてきた新天地に、鎌田自身が初めて具体的に言及した。
エルサルバドル戦へ向けて、試合会場の豊田スタジアムで行われた前日練習後の取材対応。鎌田は「まだ(契約書に)サインをしていないので、100%とは言えないんですけど」と断りを入れた上で、来たる7月から所属するクラブに関するヒントを明かした。
「チャンピオンズリーグ以上のチームから、ちゃんとしたオファーも届いている。来シーズンはチャンピオンズリーグ以上で、4大リーグ以上でやれるのは間違いない」
一時は有力視されたポルトガルのベンフィカは4大リーグ以外なので除外される。暗にミラン入りが濃厚であることを示唆したのだ。
鎌田の去就が注目され始めたのは1月。フランクフルト側から何度か打診された契約延長のオファーに断りを入れ、契約が満了する6月末をもってフリートランスファーが可能になる状況も追い風になったなかで、当初からミランの名前も報じられていた。
もっともミランの場合、来シーズンのチャンピオンズリーグ出場がかかる4位以内になかなか食い込めなかった。そこへシーズン最終盤になって、不正会計を巡るスキャンダルでユベントスが勝ち点10ポイントをはく奪される処分が下される。ユベントスと入れ替わる形で浮上したミランが最終的に4位でフィニッシュし、晴れて鎌田が望む状況が整った。
鎌田はフランクフルトの一員として先発フル出場した、3日のライプツィヒとのDFBポカール決勝をもって昨シーズンの全日程を終えた。いよいよ正式サインか、と思われた矢先に、ミラン側の交渉窓口だったスポーツ・ディレクターのフレデリック・マッサーラ氏、元イタリア代表のレジェンドで技術部門責任者のパオロ・マルディーニ氏が突如解任された。
背景には強化方針を巡る食い違いがあったとされ、イタリアの一部メディアは鎌田との移籍交渉そのものが白紙撤回される可能性もあるとまで報じた。さまざまな憶測が飛び交うなかで鎌田は一時帰国し、6月シリーズに臨む森保ジャパンに合流した。
ただ、ミランのフロント体制は代わっても、続投するステファノ・ピオリ監督(57)を含めて、鎌田を高く評価する現場の意向は変わらなかったのだろう。
取材対応のなかで「正直、サインをしてから代表に合流したかった、という思いは」と問われた鎌田は、間髪入れずに「いや、全然ないです」と答えている。
移籍交渉は条件面で実質的に合意に達していて、今回の代表活動が終わり次第、再びヨーロッパへ渡ってメディカルチェックを受診。正式にサインする流れがすでにできあがっていると見ていい。
昨年のカタールW杯では、グループステージで優勝経験のあるドイツ、スペイン両代表を撃破。世界を驚かせる快進撃を演じながら、決勝トーナメント1回戦でPK戦の末にクロアチア代表に屈し、2大会連続、通算4度目のベスト16敗退を喫した。