「自分のプレーを見て7番をつけたいと望む子供たちが増えれば」憧れの“クリロナ”背番号をつけた三笘薫が1ゴール1アシストの活躍に込めた思いとは?
日本代表が20日にパナソニックスタジアム吹田でペルー代表に4-1で快勝し、2戦合計10発のゴールラッシュで6月シリーズを連勝で締めた。左ウイングで先発した三笘薫(26、ブライトン)が1ゴール1アシストをマーク。少年時代から憧れてきたクリスティアーノ・ロナウド(38、アル・ナスル)の象徴である背番号「7番」を今シリーズから背負う“新エース”は「自分のプレーを見て7番をつけたい望む子供たちが増えれば嬉しい」との思いを語った。
「ちょっとしたミスキック」
日本のゴールキックからわずか20秒あまりで三笘のゴールが生まれた。
1点リードで迎えた前半37分。キーパー中村航輔(28、ポルティモネンセ)から右に開いたセンターバック板倉滉(26、ボルシアMG)、さらにタッチライン際にいた右サイドバック菅原由勢(22、AZ)へ短いパスがテンポよく繋がっていく。
すかさず菅原は縦パスを選択する。降りてきた右ウイング伊東純也(30、スタッド・ランス)とのワンツーでさらに前方へ抜け出すと、ハーフウェイライン付近で中央のMF鎌田大地(26、アイントラハト・フランクフルト)へ横パス。華麗なトラップでボールを収めた鎌田はひと呼吸置いて、左サイドでフリーになっていた三笘へボールを預けた。
一気に高まった歓声が三笘を後押しする。シーズンが終わったばかりのプレミアリーグで何度も演じ、対峙した相手選手たちを翻弄した十八番の技が発動された。
右足のアウトサイドでボールをコントールしながら、三笘がドリブルで前へ進む。そして、5タッチ目で中へカットイン。迷わずに右足を振り抜くと、相手選手に当たったボールは軌道を山なりに変えて、相手キーパーを越えてゴールへ吸い込まれていった。
3月のコロンビア代表戦に続く代表通算7ゴール目。直後に胸の前でハートマークを作ったパフォーマンスの意味には「個人的なところなので、言わなくても」と言葉を濁した三笘だが、シュートそのものは「ちょっとミスキックだった」と打ち明けている。
「右サイドでうまく作ったので、左サイドに広大なスペースがありました。相手選手と1対1になったので、カットインしてからとりあえず枠内へ、という意識で迷いなく打ちました。少しだけコースがずれてちょっと難しいところがありましたけど、(相手に当たって)運がよかったというか。まあ、シュートを打ったことに意味があったと思っています」
後半18分には伊東が決めたダメ押し弾をアシストした。
再び鎌田のパスを受けて左サイドからドリブルで仕掛ける。カットインからのシュートが警戒されていた状況で、今度は伊東が走り込んできていたゴール中央へクロスを送る上で、三笘の脳裏には2つの選択肢が浮かび上がっていた。
「最初は浮き球も考えましたけど、クオリティー的にちょっと難しかったので。相手の股がうまく空くかな、というところで狙い通りでした」
対峙するマーカーの一挙手一投足を見極め、股が空いた瞬間を待った。ブライトンで何度も見せた右足アウトサイドからの高速パスではなく、コントロールを重視した左足による優しいパスが相手の股の間を抜け、あうんの呼吸で伊東の足元に収まった。