「球を当てたのが少女でなく男の子なら失格にならなかった」加藤が赤裸々に明かした全仏OPボールガール直撃失格騒動の舞台裏に非難の声殺到…幻に終わった錦織との夢タッグ計画も
テニスの全仏オープン女子ダブルスでボールガールに球をぶつけ、失格になった加藤未唯(28、ザイマックス)のインタビューが22日(日本時間23日)、テニス専門サイト「クレイ」に掲載され、審判とスーパーバイザーから「ボールを当てた相手が男の子だったら、失格にはならなかった」と言われていたと明かした。加藤はさらに、ボールガールが泣いていた時間やボールが当たった場所も問題視されたと明言。審判団に世界中のテニスファンから非難の声が上がっている。
「もしボールガールが5分くらいで泣き止んでいればすべてはOKだった」
世界に波紋を広げた“ボールガール直撃失格問題”から2週間以上が経過して信じられない舞台裏が明らかになった。転戦先のドイツ・ベルリンで加藤が、テニス専門サイト「クレイ」の取材に応じてアルディラ・スーチャディ(28、インドネシア)と組んで、マリエ・ブズコバ(24、チェコ)、サラ・ソリベストルモ(26、スペイン)組と対戦した全仏オープンの女子ダブルス3回戦の第2セットの途中に起きた衝撃の事件について語った。
「私はただ、相手のサーブのためにボールをボールキッズに渡しただけです」
加藤がポイント間にバックハンドで打ち返した球が偶然にもダイレクトでボールガールの肩から頭付近を直撃し、少女が泣き出してしまった。
加藤は、ボールガールに駆け寄って謝罪。審判は当初、警告を出したが、ブズコバ、ソリベストルモが「失格じゃないの?」「ワザとじゃないの?」「(ボールガールが)泣いているじゃない」と失格を訴えて猛抗議。スーパーバイザーの判断で急転、危険行為を行ったとして失格処分となった。
その際のやり取りを加藤が初めてこう明かした。
「審判とスーパーバイザーが私のところにやってきて『ボールを当てた相手が男の子だったら、失格にはならなかったと思うんだけど』と言ったんです」
性差別とも受け止められかねない問題発言。加藤へのインタビュー記事は、審判とスーパーバイザーが、さらに耳を疑うような発言を続けたとも伝えている。
「2人は私に『女の子が15分以上も泣き続けていたので、われわれは何らかの処分を与える決断を下さなければいけなかった』とも説明しました。さらに『もし彼女が5分くらいで泣き止んでいれば、すべては大丈夫だっただろう。ボールが当たった場所が足や腕だったらまだよかったけど、首のあたりだったから難しくなった』とも言われたんです」
加藤のインタビュー記事は「クレイ」の公式ツイッター(@_claymagazine)でも拡散され、審判とスーパーバイザーに対する非難の声が殺到した。ツイートへのリプライには「これはひどい冗談に違いない。相手が男の子だったら何も起こらなかったというのか。とてもじゃないが信じられない」という意見もあれば、大会側そのものを「男尊女卑の抑圧者たち」と非難する声もあった。
一方では「基本的には加藤選手に共感した。これが真実であり、この小さな問題をいつまで続けるつもりなのか」と加藤の側に立つものもあれば、ボールガールに「もし彼女が泣かなければ、別の物語になっていたかもしれない」と言及するものもあった。
失格騒動を巡っては対戦相手だったブズコバとソリベストルモにも非難が殺到していた。その抗議や裁定を覆させた直後にはほくそ笑んだ態度が、スポーツマンシップを著しく欠いた行為だとして世界中から叩かれた。
この日の「クレイ」社へのリプライには「加藤選手が失格になったのは、あの2人が審判に泣きついたからだ」とブズコバ・ソリベストルモ組を再び非難するものもあった。世界的な規模で物議を醸した失格問題が、加藤のインタビューを介して再燃した形だ。