「たった1球の失投を彼はいつものように見逃さなかった」敵将が大谷翔平の本塁打争いで独走する同点26号ソロを称賛
エンゼルスの大谷翔平(28)が26日(日本時間27日)、本拠地でのホワイトソックス戦で「3番・DH」で出場し、4回に3試合ぶりとなる同点の26号ソロを放ち、9回にはマイク・トラウト(31)とのコンビで重盗を決め、三塁に進んだトラウトが、暴投の間に本塁へ頭から突っ込み、チームは2-1でサヨナラ勝利を手にした。本塁打、打点で単独トップを走る大谷にホワイトソックスのペドロ・グリフォル監督(53)は、「ただ1球のミスを彼はいつものように見逃さなかった」と脱帽した。
サヨナラ“ヘッスラ”のトラウトとのコンビで重盗を決める
虫が飛んできても集中力を切らさなかった。
1点を追う4回だ。カウント3-1となるまで、2度、顔の付近に飛んできた虫を手で払い打席を外したが、相手先発のディラン・シースが投じた5球目のインコース低めへのスライダーをフルスイングですくいあげる。打球を見送り“確信歩き”。同点の26号はライトスタンドの中段まで飛んでいった。即座に発表されたトラックマンデータによると446フィート(約136メートル)の特大弾だった。
敵地メディアのシカゴトリビューン紙は、「(先発の)シースはミスを1つだけ犯し、大谷に4回に本塁打を許した。これは大谷にホワイトソックスが許した今シーズン4本目の本塁打だった」と伝え、ホワイトソックスのグリフォル監督のコメントを紹介した。
「シースはすべてが順調だった。彼は力強く、スライダーも優れ、その軌道も良かった。ただ1球だけがプレートの上に残った。大谷は、そうしたミスをいつもやるように見逃さなかった。それ以外は、シースは試合を通じてミスがなかった」
今季から指揮を執る敵将も脱帽。この打席も、捕手は全球ミットを外角低めに構えていたが、たった1球の“逆球”を大谷は、打ち損じなかった。そのショットの正確さが本塁打、打点争いのトップをキープさせているのだろう。
試合が決まったのは1-1で迎えた9回だった。先頭のトラウトが四球で歩き、大谷を迎えて、ホワイトソックスは左腕のアーロン・バマーにスイッチした。だが、結局、ストライクが入らずに大谷も四球。無死一、二塁となって、4番ブランドン・ドルーリーのカウント0-2からの3球目になんとトラウト、大谷がダブルスチールを仕掛けたのだ。変化球を捕手が後ろに弾き成功。もし捕球していてもセーフのタイミングだった。
犠飛でもサヨナラの場面で、ドルーリーは、三振に倒れたが、ロッキーズから移籍してきたばかりのマイク・ムスタカスの打席で、またドラマが起きる。その2球目。変化球がワンバウンドとなり、捕手がミットに当てながら後逸すると、投球と同時に、かなりのリードを取っていたトラウトがホームへ執念のヘッドスライディング。焦った捕手のトスは大きくそれて、トラウトが大谷ばりの“足”でサヨナラ劇を演出した。
地元紙のオレンジカウンティレジスター紙によると、トラウトは、「最初の3打席は抑え込まれていたが、9回は良い打席で出塁できた。盗塁はしてきていなかったが、チームを助けるためにチャンスをつかもうと思った。いちかばちか。何かを起こす良いチャンスだった」と語ったという。トラウトの盗塁は今季2個目だった。同紙はフィル・ネビン監督のコメントも紹介しており、「2人のベストプレーヤー(大谷とトラウト)が立ち上がってくれた。そうなれば普通に勝つことができる」と、大谷、トラウトのスター2人の活躍を絶賛した。
大谷の26号にフォーカスしたのは、米スポーツサイトのFanNationだ。
「大谷が打者として信じられない歴史を築いている」との見出しを取り、「大谷は26号を放ち、野球史上でも類を見ないグループに加わった。6月までに90安打、25本塁打、10盗塁以上を記録した史上6人目の選手となった」という記録を紹介した。
過去5人のうち3人がそのシーズンのMVPを獲得しているという。