なぜ久保建英はサウジクラブからの総額252億円の巨額オファーを蹴ってレアル・ソシエダ残留を決めたのか?
ラ・リーガ1部のレアル・ソシエダに所属する日本代表MF久保建英(22)に、サウジアラビアのアル・ヒラルが総額1億6000万ユーロ(約252億円)の驚愕オファーを出したと、スペインのスポーツ紙『AS』が30日に報じた。9ゴール4アシストをマークし、チームを4位に導いた昨シーズンの活躍ぶりが“爆買い”を続けるサウジ勢の目に留まった。しかし、同紙によれば久保はすでに断りを入れたという。なぜビッグマネーよりもソシエダ残留を選んだのか。
「欧州でプレーする選手たちに次々と天文学的なオファー」
久保がサウジ勢による“爆買い”のターゲットになっていた。
昨シーズンのソシエダで9ゴール4アシストとキャリアハイの成績をマーク。日本代表として臨んだ6月シリーズでも輝きを放った久保に驚愕オファーを出したのは、サウジアラビアの強豪アル・ヒラル。スペインのスポーツ紙『AS』は次のように報じている。
「サウジアラビアはヨーロッパへ向けて大砲を放ち続けている。同国の政府系投資ファンドが持つ経済力によって、その傘下にあるクラブはヨーロッパでプレーする選手たちに対して次々と天文学的なオファーを出してきた。そして、最新の入札ターゲットになったのが久保建英だ。首都リヤドに本拠地を置くアル・ヒラルが久保に提示したのは、年俸4000万ユーロ(約63億円)の4年契約、総額1億6000万ユーロ(約252億円)という破格のオファーだった」
久保は昨年7月に、レアル・マドリードから5年契約でソシエダへ完全移籍。その際に契約解除条項、つまり違約金として6000万ユーロ(約94億6000万円)が設定されている。来シーズンへ向けた補強ターゲットの一人に久保をすえていたセリエA王者のナポリは、あまりにも高額な違約金を前にしてオファーを見送ったと『AS』は伝えている。
しかし、アル・ヒラルは高く、険しいハードルに映った違約金も満額で用意。年俸総額に6000万ユーロの違約金を加えた、トータル2億2000万ユーロ(約347億円)ものビッグマネーを支払ってでも、久保を迎え入れたいとソシエダへ申し入れた。
サウジアラビアサッカー界がにわかに注目を集めたのは昨年12月。サウジ・プロフェッショナルリーグ(SPL)の強豪アル・ナスルが、プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドを退団し、フリーになっていたポルトガル代表のスーパースター、FWクリスティアーノ・ロナウド(38)を日本円にして約280億円もの高額年俸で獲得したときだった。
迎えた今夏は、サウジ勢によるビッグネーム獲得が加速している。
たとえばアル・イテハドは、元フランス代表FWカリム・ベンゼマ(35、前レアル・マドリード)とフランス代表MFエンゴロ・カンテ(32、前チェルシー)を獲得。アジア屈指の強豪アル・ヒラルにも、ポルトガル代表FWルベン・ネヴェス(26、前ウルヴァーハンプトン)、セネガル代表DFカリドゥ・クリバリ(32、前チェルシー)の加入が決まっている。
ソシエダの4位躍進も、久保の存在を抜きには考えられない。ファン投票によるソシエダの年間最優秀選手(MVP)に選出され、国内メディアが選定するラ・リーガ1部全体のベストイレブンにも名を連ねる久保は、まさに自らの力で夢を手繰り寄せた。