「勝つために来た。ひよることも不安にのみこまれることもない」井上尚弥が挑むWBC&WBO王者フルトンが2000万円相当の高級腕時計をはめて来日!
プロボクシングの前バンタム級4団体統一王者の井上尚弥(30、大橋)の挑戦を7月25日に有明アリーナで受けるWBC&WBO世界スーパーバンタム級王者のスティーブン・フルトン(28、米国)が11日、羽田着の日航機で米国ロスから来日した。21戦無敗の王者は、「勝つという仕事を遂行するためにきた。ひよることも不安にのみこまれることもない。やるべきことをやるだけ」と自信の笑みを浮かべた。いよいよ日本が世界に誇るモンスターのキャリア最大の戦いのゴングが近づいてきた。
「コンディション?グレード。絶好調だ」
人気アパレルのOff-WhiteとNikeがコラボしたゴールキーパージャージにハーフパンツ、同コラボのオレンジ色のスニーカー。洒落たいで立ちでまとめたフルトンは、トレードマークの髭を揺らしながら颯爽と羽田空港に降り立った。
「疲れはない。フライト中は起きていたが元気だ。今到着したばかりだがワクワクしている。日本のライフスタイルの経験もできたらいい」
21戦無敗。現WBC世界フェザー級王者のブランドン・フィゲロア(26、米国)、元WBA&IBF世界スーパーバンタム級王者のダニエル・ローマン(33、米国)という強豪を撃破してきた2団体統一王者の左腕には、ダイヤモンドをちりばめたギンギラギンのロレックス。海外の腕時計に詳しい業者に写真を見てもらったところ「別注ですね。時価2000万円はするでしょう」という代物とか。無敗の元5階級制覇王者のフロイド・メイウェザー・ジュニア(46、米国)のつけてきた腕時計も凄かったが、フルトンも米国で成功した世界チャンピオンを象徴するような逸品を腕にはめていた。
本拠地のフィラデルフィアでトレーニングを積み、直前にロスに移動して調整してからのフライト。約2週間前の来日は、時差調整やプロになって初の海外遠征試合への環境への適応を考慮してのものだろう。
「アマチュアの頃に国外で試合をしたことはあるが、プロとしては初めての国外の試合で楽しみだ。コンディション?グレートだ。いつも通り絶好調だ」
当初はフェザー級にひと階級上げて激闘を演じたフィゲロアと再戦するプランが日付と場所まで報道されて決定寸前まで進んでいた。減量苦のフルトンが、スーパーバンタム級のウェイトを作れるかどうかという点が、不安視されていたが、髭に隠れた頬はこけ、ハーフパンツから見えていた足は細く、ジャージごしではあったが、その肉体はかなりシェイプアップされているように見えた。井上も、海外で試合をする際には、普段よりも調整と減量のペースをアップし、作り上げてから日本を離れていた。フルトンも同様にほぼ調整を終えてからの来日なのだろう。
このビッグマッチは、当初、5月7日に横浜アリーナでの対戦が予定されていたが、井上がスパーリング中に拳を痛めたため、7月25日に延期になった。フルトンは、米メディアのインタビューに答え、「多くの時間ができたし、より集中し対戦相手のことを考えて調整することができた」と前向きにとらえていた。その言葉に嘘はなく、時間を有効に使ってきたように思える。
ただ身長は1m69と発表されているが、映像で見るフルトンよりも小さく感じた。フェイスオフの瞬間に明らかになるだろうが、井上が体格で大きく見劣りすることはないのではないか。1階級を上げることで生じる体格差、リーチ差は、それほど井上のハンデとはならないのかもしれない。