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井上尚弥が挑戦するWBC&WBO王者のスティーブン・フルトンが公開練習をしたが、約41秒のシャドーとスピードボール打ちを数発見せただけの“完全煙幕”(写真・山口裕朗)
井上尚弥が挑戦するWBC&WBO王者のスティーブン・フルトンが公開練習をしたが、約41秒のシャドーとスピードボール打ちを数発見せただけの“完全煙幕”(写真・山口裕朗)

「井上尚弥の優れている点はタイミングだ」WBC&WBO世界王者フルトンが7.25決戦に向けての公開練習で“完全煙幕”

 プロボクシングの元バンタム級の4団体王者の井上尚弥(30、大橋)が7月25日に有明アリーナで挑戦するWBC&WBO世界スーパーバンタム級王者のスティーブン・フルトン(28、米国)が14日、横浜の大橋ジムで練習を公開した。本来は、右構えだが、なんとサウスポーに構えて、約41秒のシャドーと数発のパンチングボール打ちを見せただけで“完全に煙幕”を張り、視察した井上尚弥の父親で専属トレーナーの井上真吾氏を「公開練習でこれじゃあ、え?という感じ。失礼かなと」とあきれさせた。以下は練習前に行われたフルトンのインタビューの主な一問一答。

 41秒のシャドーと数発のパンチングボール打ちだけを披露

 

――11日に来日してから、ここまでの過ごし方は?
「トレーニング、休息、食事、またトレーニング、休息、食事の繰り返しだ。状態はいい」
――日本の暑さと食事の中身は?
「練習をこういう暑さの中であるのが、好きなので気にならない。サラダ、チキン、フルーツ、それにミネラルウォーターをしっかり摂っている」
――1度は階級をフェザー級に上げてブランドン・フィゲロア(米国)との再戦を決めていた。再びスーパーバンタム級に戻すことでウエイト調整は大丈夫なのか?
「ははは。問題はない。いい感じで落ちている」
――リミットまであとどれくらいか?
「ああ」と笑って指を口に当てて「それは秘密」のポーズ。
――対井上対策として特別なトレーニングはやってきたか?
「特別なことはやっていない。時間をかけてしっかりと準備した」
――フィラデルフィア、ロスではどれくらいスパーリングをしてきたのか?
「1日か?トータルか?」
――トータルで?
「多すぎてわからないよ」
――初の海外試合に不安は?
「普段と変わらない気持ちでやる。アマ時代も海外でも戦っているので気にならない。いったところどころでいろんなものを吸収したい」
――5月7日に予定された試合が井上の拳のケガで延期になった。それを知らされたときにはどう思ったか?
「最初にケガの話を聞いたときは、この試合は中止になるのかなと思った。その場合はウエイトを(フェザー級に)上げる方向で考えた。すると井上陣営から“ちょっと待って欲しい”という話があり、“どれくらいかかるんだ?”と確認したところ、7月25日という日付をもらったので、やろうと思った」
――それは調整に影響を与えたか?
「ケガを聞いて2週間のオフを取り、ガーボンタ・デービスとライアン・デービスの試合(4月22日、WBA世界ライト級タイトルマッチでデービスがKO勝利)を見にいき、そこから調整を始めた」
――井上との対戦をいつ意識したか?
「彼が階級を上げたときだ」
――改めて井上の印象を。
「素晴らしいファイターだ」
――具体的にはどこが?
「タイミング」
――パワーじゃないのか?
「パワーはもちろんある。それは彼の武器であって、それ以上に、それをどう使うかのタイミングがいい」
――井上は下から階級を上げてきた選手。フィジカル差の有利さをどう感じているのか?
「ウエイトというより、戦いなので、そのときに良かった方が勝つ。自信がなければ、ここまでやってこない。どうってことはない」
――あなたは米メディアのインタビューに「経験の差を生かして賢く戦う」と答えている。それはポイントアウトのボクシングを徹底するということか?
「ボクシングは第一に頭を使って賢くやらねばならない。ただそれだけでなく(攻撃的なボクシングも)ミックスして戦っていく」
 約10分ほどのインタビューを終えたフルトンは、バンテージもグローブもつけずにリングに入って約41秒だけシャドーボクシング。しかも、本来は右構えだが、サウスポースタイルで、完全に煙幕を張った。その後「(位置が)低いなあ」と文句を言いながらパンチングボールを数発打っただけでジムを引き上げた。滞在時間はわずか15分ほど。横浜市内の別ジムで午前中にトレーニングを行い、その足で大橋ジムに駆けつけたという。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

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