なぜ那須川天心の「9.18有明」ボクシング転向第2戦にKO率77%の危険な無敗の新鋭メキシカンが選ばれたのか…アマ時代の井上尚弥を2度下したボクサーにも勝利したパンチャー
プロボクシングの日本スーパーバンタム級7位の那須川天心(24、帝拳)が9月18日に有明アリーナで、ボクシング転向第2戦に臨み、9戦無敗7KOのメキシカンのホープ、フアン・フローレス(23、メキシコ)と同級8回戦で対戦することが19日、東京ドームホテルで発表された。またメインイベントはWBA&WBC世界ライトフライ級統一王者の寺地拳四朗(31、BMB)がWBC1位のヘッキー・ブドラー(35、南アフリカ)と指名試合を行い、セミファイナルではWBO世界スーパーフライ級王者の中谷潤人(25、M.T)が同級11位のアルヒ・コルテス(28、メキシコ)とV1戦を戦う。試合は「アマゾンプライムビデオ」で独占ライブ配信される。
最先端モードファッションで会見に登場
拳四朗、中谷というパウンドフォーパウンドクラスの世界王者2人と同席した会見で話題を独占したのは、やはり天心だった。まずその奇抜なファッションが注目を集めた。
「古代エジプトの神をテーマにした」というシンプルなホワイトの長袖シャツに下にはブリーツスカート。実は高級ファッションブランド「ディオール」の新作だというから、これが最先端モードなのだろう。
「正装で来いと言われたのでオレなりの正装。スーツとは言われていないのでバチっと決めました。何かおかしいっすか?ディオールなんですよ。それで説得力ありました?」
無敗の元キック王者はプロにふさわしいエンターテイナーだ。
プロボクシング転向の第2戦は強敵との対戦となった。
2019年6月にデビュー後、9戦無敗で7KOのメキシカン。KO率は77%を誇る。左右のフック、右ストレートにパンチ力を秘めたアグレッシブな右構えのボクサーファイター。
実は、フローレスは、今年4月に行ったプロ第8戦でヨスバニー・ベイティア(キューバ)に8回判定で勝利しているのだが、この選手は、元バンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(大橋)が、アマチュア時代に世界ユース、ロンドン五輪の予選を兼ねていた世界選手権で2度対戦して2度負けている強豪。東京五輪にもキューバ代表で出場している。そのトップアマに判定勝利しているのだからパンチ力だけでなくテクニックもある。メキシコの大手プロモート会社「ザーファー・プロモーション」のトッププロスペクトの一人だという。
天心も警戒心を強める。
「KO率も高い強い相手を用意してもらえた。メキシカンは厄介。キック時代にはメキシコの選手はいなかったし、自分中では癖もののイメージある」
デビュー戦前に米国ラスベガスで合宿を張った際に、4階級制覇王者の井岡一翔(志成)と2度激戦を演じたメキシコ系米国人の元WBA世界スーパーフライ級王者のジョシュ・フランコとスパーリングを経験。「タイミングが違ってビックリした。曲者ではあるなと思った」という。
なぜ帝拳と天心は転向2戦目であえて危険な新鋭を選んだのか。
マッチメークした本田明彦会長は、「決める段階で、いい勝負のできる相手を選んだ。そこから2か月の準備で、それ以上天心が伸びてこないと勝てない相手。それなりの相手でなければ(マスコミやファンに)叩かれるし、本人もそういう相手を望んでいるからね。メキシコ新鋭の選手のうち、一番いいやつを選んだ」と、あえて危険な相手を指名した経緯を説明した。
“かませ犬”だとの批判をうけかねないタイやフィリピンの選手はリストから外したという。
天心も厳しいマッチメイクを正面から受け止めた。
自分と同じサウスポーを相手に8回にKO勝利している最新の試合映像を見たが、なぜかKOシーンは映っていなかった。それでも、「弱点も見えた。そこをしっかり作りこんで狙っていければ」と自信をのぞかせる。
「無敗なので怖いものしらずにガンガン来たりするから」
フローレスには荒っぽく攻撃に出てくる際にカウンターを狙える隙がある。