なぜエムバペはPSGの来日メンバーから外れたのか…事実上の球団オーナーが激怒「今すぐ売却せよ!」
仏リーグアン王者のパリ・サンジェルマン(PSG)は21日(日本時間22日)、サウジアラビアのアル・ナスル(25日、ヤンマースタジアム長居)を皮切りに計3試合に臨む日本遠征メンバー29人を発表し、去就問題で揺れているフランス代表FWキリアン・エムバペ(24)をリストから外した。同日に行われたPSGのトレーニングマッチに出場。ゴールも決めていた今ツアーの“顔”は、なぜ来日直前になって不参加となったのか。
63億円のボーナスを支払いたくない
パリを飛びたつ直前になってエムバペが搭乗者リストから外れた。
ブラジル代表FWネイマール(31)とともに、今ツアーの“顔”となるはずのエムバペの不参加を、フランスメディアも大々的に報じている。PSGの専門メディア『PSG Community』は「PSGにおけるキリアン・エムバペの日々はもうすぐ終わる」と伝えた。
「われわれは6月の段階でエムバペが今夏に退団すると報じたが、その時は刻一刻と近づいている。PSGとエムバペの綱引きは日に日に激しさを増している。どちらも主張を曲げないなかで、首都のクラブとスター選手の間には深い溝が生じてしまった」
さらに『RMC Sport』は、今後の動きについて言及した。
「PSGとエムバペの間で繰り広げられてきた対立は、金曜日の夜になって新たな局面を迎えた。日本と韓国へのプレシーズンツアーに出発する直前になって、PSGの経営陣はエースストライカーの排除を決めた。エムバペが売りに出されるわけだ」
PSGとの契約が来年6月末で満了を迎えるエムバペは6月に、1年間の自動延長オプションを行使しないだけでなく、新たに提示された2026年夏までの3年契約、年俸総額5億ユーロ(約789億円)の延長オファーをも拒否する文書をPSGへ送った。
現状のままではエムバペは来夏に、移籍金が発生しないフリートランスファーで希望するクラブの一員になれる。無償でエースを失う状況は絶対に許されないと、PSGのナーセル・アルヘライフィー会長兼CEO(49)はエムバペに対して契約延長に応じるか、移籍金が発生する今夏に移籍するかの二択を要求。返答期限を今月15日に設けていた。
しかし、期限を過ぎてもエムバペの代理人、母親のフェイザ・ラマリさん(49)から連絡が入らない。現行の契約をまっとうし、来夏に退団するスタンスを貫くエムバペの近況を、アルヘライフィー会長はPSGの運営法人、カタール投資庁(QIA)に伝えた。
スペインメディアの『Defensa Central』によれば、同会長は今月31日をもって4000ユーロ(約63億円)の支払いが確定するボーナスを、エムバペ側が待っているとも報告したという。
こうした姿勢に激怒したのがQIAの会長、つまりPSGの実質的なオーナーとなるカタール国家元首のタミーム首長(43)だった。同メディアは次のように報じている。
「カタールの首長は、友人でもあるアルヘライフィー会長にエムバペの売却を命じた。数時間前の首長の言葉を再現すれば『ナーセル、早くやれ。いますぐだ』となる」
PSGが態度を硬化させた理由はまだある。
エムバペはUEFAチャンピオンズリーグ優勝を狙える、スペインのレアル・マドリード入りを望んでいる。そしてレアル・マドリード側との間で、フリートランスファーとなる来夏の移籍に関して密約が交わされていると、PSGはフランスメディアに公言している。