なぜ女子W杯なでしこJが4大会連続の決勝T進出を決めたのか…19歳の藤野あおば「ラッキーガール的存在に」
サッカーの女子W杯グループC第2節が26日、ニュージーランドのダニーデン・スタジアムで行われ、なでしこジャパンが2-0でコスタリカ女子代表に快勝、連勝となりスペインがザンビアに勝ったことで4大会連続の決勝トーナメント進出を決めた。初戦でザンビア女子代表を5-0で撃破したなでしこは、前半25分にMF猶本光(29、三菱重工浦和)、27分にはMF藤野あおば(19、日テレ・東京V)が立て続けにゴールを決めた。31日の最終節で1位突破をかけてスペインと対戦する。
苦労人の猶本が先制
思いの丈を利き足とは逆の左足に込めた。
両チームともに無得点で迎えた25分。FW田中美南(29、INAC神戸)のスルーパスに反応し、左サイドからペナルティーエリア内へ侵入していった猶本が迷わずに左足を振り抜く。低く鋭い一撃をゴール右隅に突き刺して均衡を破った。
10代のころから期待されながら、豪州とNZで共催されている今大会が初のW杯となった29歳の猶本が、初先発したコスタリカ戦で大仕事を演じた。試合後にピッチ上で行われたインタビューで、猶本は万感の思いとともにW杯初得点を振り返っている。
「自分のゴールでチームを勝たせたいと思っていたのですごく嬉しいです」
2分後には19歳の藤野が続いた。
右サイドに流れたボールを、相手選手と競り合いながらマイボールにする。素早く反転して相手ゴールに迫ると、ほとんど角度がない位置からこちらも迷わずに右足を一閃。強烈な一撃が相手キーパーの左手を弾き、右ポストとの間の狭い空間を撃ち抜いた。
日本女子代表の初代専任監督を務めたサッカー解説者の鈴木良平氏(74)は、男女を通じて10代で初めてW杯でゴールを決めた日本人選手となった藤野を「今大会における、ラッキーガール的な選手になる可能性が十分にある」と評価した。
「もともとドリブルやシュート、あるいはラストパスで素晴らしいものを持っているだけでなく、首脳陣を含めた周囲から『思い切りプレーしてこい』と言われているはずなので、戦術やコンビネーションなどをあまり気にせずに、とにかく自分のプレーを出し切ろうという気持ちが伝わってくる。その意味でもプレッシャーを感じずにプレーできている」
さらに苦労人の猶本にも「気持ちが入っている」と言及した。
「代表から外れる期間も長かったなかで、この年齢になって念願のW杯代表に名を連ねた。胸中には期する思いがあるはずだし、途中出場したザンビアとの初戦を含めて、プレーそのものにも非常に切れがある。今後さらに注目していい選手だと思う」
なでしこを率いる池田太監督(52)は、ザンビアとの初戦から中3日で迎えるコスタリカ戦へ、先発を4人変えて臨んだ。ともにフル出場したフィールドプレーヤーはDF南萌華(24、ローマ)とMF長谷川唯(26、マンチェスター・シティ)、そして2011年ドイツ大会の優勝をただ一人経験しているキャプテン、DF熊谷紗希(32、ローマ)の3人となる。