ラグビーW杯仏大会の国内“前哨戦”を1勝4敗で終えた日本代表は本当に大丈夫なのか…15日のメンバー発表を前に“光と影”を検証
ラグビーのW杯フランス大会に向けての国内最終戦となるパシフィックネーションシリーズのフィジー代表戦が5日、秩父宮ラグビー場で行われ日本代表は12-35で敗れた。4年前のW杯日本大会で8強進出を果たした日本は、今大会でそれを超える成績を狙うが、7、8月に行われた5試合の強化試合は1勝4敗と負け越して課題を浮き彫りにした。日本はフランス大会で勝てるのか。出場メンバー33人は15日に発表される。
ハンドリングのミスが「15」も
4年に1度のワールドカップ開幕まであと約1か月。ラグビー日本代表がハードなレッスンを強いられていた。熱波がやや涼しい風に切り替わってゆく8月5日の夜。W杯前の国内5連戦の最終戦を白星で飾ることができなかった。
敗戦を象徴するような場面があった。
7―28で迎えた後半32分。日本代表は、自陣深い位置から揺さぶった。14フェーズをかけて敵陣深くまで攻撃を継続したが、ミスが生まれて得点につなげることができない。
2万2137人を発表された満員のスタンドからの「ニッポン!」コールは、やがて悲鳴に変わった。強靭なフィジー代表が手数をかけずにスコアしたのに対し、日本代表は繊細なコンビネーションでチャンスを作りながらもスコアを伸ばせなかったのである。
ハンドリングエラー数は日本代表が「15」を数えたが、フィジー代表も「12」もあった。加えて、あわやトライというシーンをビデオ判定で3度も取り消されており、日本代表は点差以上に苦しめられたと言っていい。
日本代表は、国内での強化試合に1勝4敗と負け越した。7月8、15日の対オールブラックス・フィフティーン2連戦は6―38、27―41で敗戦。22日のサモア代表戦も22―24で落とし、29日のトンガ代表戦で、ようやく21-16で勝利した。
喫緊の課題には、タックルのテクニックが挙がる。
フィジー代表戦では、前半7分、ピーター・ラブスカフニが危険なタックルで一発退場。怪我から復帰したばかりのオープンサイドフランカーの主力格が突如、いなくなり、残る73分間を14人で戦う羽目になっていた。振り返れば、惜敗したサモア代表戦でも、前半30分にリーチ マイケルが似た反則でレッドカードをもらっている。
選手の安全面が考慮され、ハイタックルへの判定の厳しさが増しているという背景もある。タックラーの肩や頭が相手の首から上にぶつかったら、即、ビデオ判定とカード発出の対象となるのが現実だ。故意でなくとも笛が吹かれるだけに、より繊細な対応が必要である。
ジェイミー・ジョセフヘッドコーチはラブスカフニに助言したと明かす。
「ルールに則りアジャストしなければいけない。彼は上体が高くなる部分がある。足の運びなどをやって(再確認して)いかなくてはならない部分がある。カードにとらわれるのはなく、自分たちのやること(正しいタックルのスキルの習得)にフォーカスする」
故障者が続出しているのも気がかりだ。
今年初選出のアマト・ファカタヴァは、5試合連続でロックとして出場も前半23分に足を引きずり退場。試合を重ねるごとに持ち味の突破力、接点でのパワーを示す機会を増やしていただけに、状態が懸念される。そもそも、6月中旬の浦安合宿時から離脱者が相次いでいた。