「少し調べれば誰でもわかる」一部サポの名古屋戦の暴力行為を否定していた発表を撤回した浦和レッズの杜撰な対応に批判が殺到
浦和レッズは16日、名古屋グランパスとの天皇杯4回戦(2日、愛知・CSアセット港サッカー場)後にサポーターが暴徒化した問題で、暴力、破壊、危険、威嚇を含めた違反行為が40件確認されたと発表した。暴力行為は確認されていないと5日の記者会見で明言したクラブの見解を覆したもので、日本サッカー協会(JFA)から科される予定の違反者及び浦和への処分も厳粛に受け止めると謝罪した。浦和のあまりにも杜撰な対応にネット上では批判の声が飛び交っている。
暴力、破壊、危険、威嚇を含めた違反行為が40件
名古屋とのホームでの“再戦”を2日後に控えた16日深夜に、浦和が公式HP上で「浦和レッズサポーターによる違反行為について(第二報)」と題した緊急声明を発表した。
2日の名古屋との天皇杯4回戦後に発生した、暴徒化した一部サポーターが試合会場の愛知・CSアセット港サッカー場に乱入し、浦和側が77人のサポーターに入場禁止や厳重注意処分を科していた問題で、新たな違反行為が複数確認されたと発表した。
声明によれば、浦和の競技運営部門は10日から、JFAの主導で行われてきた映像を使った細部の事実確認に共同作業の形で加わった。その結果として、暴力や破壊、危険、威嚇を含めたサポーターによる違反行為が合計で40件にわたって確認された。
そのうち暴力行為は12件にのぼり、警備員を押し倒し、名古屋サポーターの胸ぐらをつかんだ行為などが対象となった。緩衝柵を破壊した行為も12件を数え、ペットボトルの投げ込みや相手ゴール裏に侵入した危険行為が8件、相手ゴール裏で罵声を浴びせて挑発した威嚇行為が6件、名古屋側の横断幕を破損させようとした行為も2件確認された。現時点で確認されている違反行為者は、25人程度で、今後も継続される調査で増減する可能性がある。
日本サッカー界で前代未聞と言っていい、暴徒化したサポーターが大挙してピッチへ乱入した騒動は、浦和が0-3で名古屋に大敗した直後に発生した。浦和の強化部側と緊急の話し合いを持っていた浦和サポーターが、柵越しに野次を飛ばしてきた一部の名古屋サポーターに応戦。愛知県警の警察官約50人が出動する混乱の末にようやく収束した。
翌3日夜には浦和が処分を発表。立ち入り禁止エリアへの侵入を主導した31人に浦和が出場するアウェイ戦を含めた9試合、サポーターを統括するリーダー1人に同じく16試合への入場禁止をそれぞれ通達。さらに侵入した45人を厳重注意とした。
しかし、違反行為者本人からの申し出や関係者による事実確認、または浦和側の調査で把握できたサポーターに対する処分には、甘すぎるとの批判が殺到。炎上状態を招いていたなかで、浦和は5日に田口誠代表取締役社長と須藤伸樹マーケティング本部長がオンライン会見を実施。試合運営及びファン・サポーター対応を管轄する競技運営部門の総責任者でもある須藤本部長は、暴力行為の有無について「暴力をふるってはいない」と明言していた。
試合翌日の3日時点で把握できていた事実と断りを入れた須藤本部長は、あくまでもピッチを含めた立ち入り禁止エリアに侵入した行為に対する処分だと説明。新たな違反行為が判明すれば「しっかりと厳罰をもって処分する」と補足していた。
しかし、騒動直後から警備員を押し倒す、といった暴力行為をとらえた映像がSNS上に投稿され、大勢のユーザーによって拡散されていた。天皇杯を主催するJFAの田嶋幸三会長(65)も暴力行為に関する報告が上がってきていると明言しただけに、途中経過とはいえ、暴力行為は確認されていないと明言した浦和の対応は杜撰と言わざるをえない。
浦和の緊急声明はクラブの公式ツイッター(現X)にも投稿された。浦和の対応を評価する投稿も見られるが、大多数は当初のクラブ見解を覆した声明の内容に関する批判だった。その一部をあげれば次のようになる。