阪神ミエセスが来季残留へ…対応力と懸命で前向きな姿勢を評価

　阪神のヨハン・ミエセス外野手（28）が来季残留の方向であることが28日、明らかになった。日本野球に対する対応力の成長と全力プレーの前向きな姿勢が評価されたもの。ここまでのスタメン出場は27試合に留まり、打率．204、4本塁打、13打点の数字しか残せていないが、来季の上積みが期待されての残留方針。ミエセスは年俸50万ドル（当時レートで約7000万円）で1年契約を結んでいた。

　“ギャルピース”の陽気キャラでチームのムードメーカー

　“ミエちゃん”のギャルピースが来季も続けて虎ファンとチームを盛り上げることになる。
　阪神が28日までに今季から加入したミエセスの来季残留の方針を固めた。現在、チームの外国人助っ人は、野手ではノイジー、投手ではケラー、ビーズリー、途中入団のブルワーと合計5人いるが、ミエセスが残留“内定”の第1号となった。
　メジャー経験はないが、東京五輪にはドミニカ共和国代表で出場、3位決定戦の韓国戦では、元阪神のストッパーだったオ・スンファンから豪快な一発を放り込み、スカウトの目を引いた。120キロを超える巨漢で一発の魅力を秘めたミエセスの開幕は2軍スタート。そもそも、岡田監督も戦力としては計算に入れずに「外国人にしては年俸も安いんだから、出てくれば儲けもの。まずはファームで経験を積めばいい」くらいの考えでいた。
　4月には父親が他界したことでドミニカ共和国へ帰国するなどして、1軍でプレーする機会はなかったが、5月5日の広島戦で1軍に初昇格。いきなり「6番・ライト」でスタメン起用されると、その来日デビュー戦で初アーチをマークして勝利に貢献。5月18日の中日戦では初回の二死満塁のチャンスに、柳から三塁線を破る走者一掃のタイムリー二塁打を放ち、その試合では、守備でもスーパープレーを披露してヒーローインタビューに指名された。
　ここまでは45試合に出場して打率．204、4本塁打、13打点で、114打席立ち、三振は35、得点圏打率．136の成績しか残せておらず、8月に再昇格してからは主に代打で起用され、いまだに代打でのヒットは1本もない。しかし、球団サイドが評価したのは、その日本野球に対する対応力と成長度だ。キャンプでは大振りが目立ったが、ボールの見極めが徐々にできるように進化。外国人の右打者が苦しむ日本の投手の外角の揺さぶりにも対応して、ボールゾーンに曲げてくるスライダーにも手を出さなくなっている。ここまで四球数は13個ある。
　マイナーでプレーしてきたため甲子園のような大観衆の前でプレーするのは人生で初めてで、当初はチャンスに代打起用されると緊張して打てなかったが、球場の雰囲気にも慣れてきた。
　岡田監督も「外のスライダー系のボール球とかをそんなに振れへん。本当の野球をしたことないやろ。ちゃんと教えていったら大化けする可能性はあるよ」と、その成長を評価していた。
　ここまで4本塁打だが、チーム本塁打数がリーグ5位の61本と大砲不在のチーム編成の中で一発の可能性のあるミエセスは貴重な存在。伝説のランディ・バースも3冠王を獲得するまでのブレイクを果たしたのは来日3年目で、ミエセスにも来季の上積みが大きく期待できると判断しての残留方針となった。