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アメフット部の大麻事件に対して日大の林真理子理事長は「隠蔽などない」と公言していたはずだが…
アメフット部の大麻事件に対して日大の林真理子理事長は「隠蔽などない」と公言していたはずだが…

大麻事件の日大アメフット部寮は“悪の巣窟”だった…スポーツ競技部の経緯説明会でいじめや窃盗事件があったことを明かす…対応後手は「マスコミ報道のせい」だとの言い訳も

 アメリカンフットボール部の大麻事件で揺れる日大がスポーツ競技部に所属する日大の全監督、コーチなどの指導者を集めて今回の問題の経緯説明会を4日に開いていたことが明らかになった。今後スポーツ競技部として再発防止委員会を立ち上げることを伝えたというが、ここまで一切、正式な説明がなかったにもかかわらず「マスコミ報道のおかげで対策が後手になった」「警察の協力がなくなって困った」などの“言い訳”のオンパレードで、アメフット部の寮内でいじめや窃盗事件があったことまで明かした。再来年度からのスポーツ推薦入学制度を変更する可能性を示唆したという。8月24日に事件を検証する第三者委員会を立ち上げた日大は9月15日までに文科省に報告することになっている。

 全競技部の指導者を対象に実施されていた経緯説明

 

 やっと日大が動いた。8月5日にアメフット部の現役部員が大麻及び覚せい剤取締法違反で逮捕され、8月8日に林真理子理事長、酒井健夫学長、澤田康広副学長の3人が記者会見を開いたが、学内への説明はHP上に掲載するだけで、ここまで詳しい説明は一切なかった。そのため特にスポーツ競技部に所属する他のスポーツクラブに不安が広がっていた。事件発覚から1か月が経過して、ようやくスポーツ競技部の責任者が、全部で34ある日大の競技部の監督、コーチら約40人を市ヶ谷の本部に集めて説明会を開いた。対面で参加できない指導者はオンラインで参加した。
 説明会の冒頭で、アメフット部の中村敏英監督が一連の不祥事を起こしたことに対して深く謝罪した。その後、スポーツ競技部を統括する大学側の責任者が、昨年からここまでの大麻事件の経緯を時系列で説明したという。
 メディアには、大学側の対応が、後手、後手に回ったことが批判された。中でも7月6日に任意の持ち物検査とヒアリング調査を実施して一人の部員が提出した容器の中から「茶葉のような植物の細片が付着したパケと呼ばれるビニール袋と錠剤の不審物が見つかった」にもかかわらず、警察に届けず、18日になってようやく警察に報告し、12日間に及ぶ空白期間を作ったことが隠蔽だと指摘された。
 だが、この日の説明では「(保護者などから情報提供を受けた)マスコミに小出し、小出しに記事を出されたせいで大学の対応が後手に回ったようになった」、「当初、警察から自首させるようにと言われて、学内でのヒアリングなどを行ったが、途中から警察が一切、協力してくれなくなって困った」と、自らの管理責任や、警察や保護者から指摘されていたにもかかわらず対応が遅れ、学内調査も不十分だったことを棚にあげて、騒ぎになった責任をマスコミや警察に押し付けるような“言い訳”をしたという。これには説明会に集まった各競技部の監督、コーチも困惑の表情を浮かべていたという。
 さらに林理事長は、家宅捜索を受ける前日の8月2日にメディアの取材を受けて「大麻はありえません。それはない」と疑惑を完全否定。結果的に、これは嘘であり、「お飾りの理事長ではないか」という批判の声も出た。
 この日の説明会では、その問題にも触れ、「警察に提出した物質の検査結果が出たのが、その数時間後で、この時点で理事長は知らなかったので嘘をついたわけではない」とフォローした。
 8月8日の会見で林理事長は「私の言葉足らずの発言が混乱を招いた。反省している。発見されたものが違法かどうかの確認を進めていたところで、その確認の連絡を受けていないという意図での発言」との苦しい釈明に追われていた。
 また逮捕された部員だけでなく、大麻使用者が複数いるとみられる問題の寮内で「いじめや窃盗事件もあった」と言う重大事項が、さらっと報告されたという。これらも学外に公表されておらず隠蔽されている事件。
 アメフット部の寮が、いじめや窃盗事件まで勃発していた、まさに“悪の巣窟”だったとすれば、そこが大麻事件の温床となっていたとしても無理はない。寮の管理を野放しにしていたアメフット部の監督、コーチ、そして、それを統括する大学の管理責任は大きいだろう。
 そのアメフット部の寮が閉鎖されたのは8月31日。逮捕された部員の供述や、警察の捜査により、複数の部員が大麻使用にかかわっていたことが明らかになり、8月22日に再度、寮に家宅捜索が入った後のことで、それまでは開放されていた。 
 そしてたった5日間で一度は解除されていたアメフット部の無期限活動停止処分が、9月1日に、再度、無期限活動停止となった。すべてが後手、後手の対応。日大のコンプライアンスは一体どうなっているのだろうか。

 

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