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甲子園に凱旋したBIGBOSS新庄は奇策を仕掛けて序盤に6点のリードを奪うも逆転負けを喫した(資料写真・黒田史夫)
甲子園に凱旋したBIGBOSS新庄は奇策を仕掛けて序盤に6点のリードを奪うも逆転負けを喫した(資料写真・黒田史夫)

なぜ甲子園凱旋のBIGBOSS新庄は阪神に6点差の逆転負けを許したのか…成功した奇策と堅実を見失ったツケ

 

BIGBOSS新庄剛志率いる日ハムが3日、甲子園球場で行われた阪神戦で6点差を逆転されて7-9と敗れた。16年ぶりに凱旋した思い出の地で、無死満塁からのスクイズや一死満塁からのヒットエンドランなどセオリー無視の新庄劇場により主導権を握り、3回で7-1とリードしていた、だが、大山悠輔に3本塁打を浴びるなど、ジワジワと点差を縮められ、ついに8回に逆転を許した。BIGBOSS野球の光と影が垣間見えたゲームだった。

無死満塁から初球スクイズの奇策

 今季最多4万2574人のファンで埋まった甲子園。6点差逆転のハッピーエンドに虎党は、お祭り騒ぎだが、日ハムファンも、なにより新庄ファンが“玉手箱”のような“野球”を堪能した。面白くしたのは、もちろんBIGBOSS。矢野監督とメンバー交換を終えると、ホームベースの前へ進み出て、バックスクリーンに深く頭を下げて、思い出深い聖地への凱旋を報告して、大歓声のファンに手を振った。

 どよめきを呼んだのは3回だ。万波の左中間への10号本塁打から始まったこの回。さらにウィルカーソンを攻め、野村、清宮、松本剛の3連打で無死満塁のチャンスを作り、打席には、売り出し中のルーキー上川畑が入った。

 その初球。なんとスクイズのサイン。打球はウィルカーソンの正面に転がったが、野村が好スタートを切っていたため、ホームは余裕のセーフ。一昨年まで7年間阪神のコーチを務め、日ハムOBである評論家の高代延博氏も、「私も含めて誰もがまったく頭になかったと思う。阪神も無警戒。だが、初球にストライクを取りにくる場面だから考えてみれば理にかなった作戦」と唖然とした。

 だが、上川畑の広報談話は「BIGBOSSの野球では、絶対にあると思っていたので気持ちの準備はできていた」というもの。そこに高代氏は、新庄イズムのチームへの浸透を感じたという。

「1球、1球、野球が変わるのが新庄野球。それが選手もわかっているから、どんなサインが出ようと準備ができている。野球は、対応力、順応力を問われるスポーツ。そういう部分の意識づけができている」

 新庄イズムの浸透を感じたシーンが1回にもあったという。先取点を奪い、なお一死三塁で4番の清宮がカウント3-1から三塁コーチにサインの出し直しを求めたのだ。

「つまり1球、1球サインが出ているということ。清宮は、もしかしたらスクイズがあるかもと考えていたのでしょう。選手もどんなサインが出るかわかららないと考え集中し、頭を使う。新庄イズムが浸透している証拠」

 清宮はセンターへの犠飛を打った。

 

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