英メディアは日本に“ヘディングアシスト”トライで勝ったイングランドを酷評「醜い勝利」「奇妙なトライで息を吹き返す」
ラグビーW杯フランス大会のプールDの第2戦が17日(日本時間18日)に現地で行われ、日本代表はニースで前回準優勝の強豪イングランド代表に12-34で敗れ、通算成績を1勝1敗、ボーナスポイントはなく得失点差で暫定3位となった。後半14分に12-13と1点差に迫った日本だったが、直後に相手選手のヘディングのアシストからの珍しいトライを許してしまうなどのミスも出て点差が開いた。英メディアは、その“珍トライ”に注目。意外にも2連勝でベスト8進出をほぼ確実にしたイングランドの試合内容を酷評し、途中まで大健闘した日本を称えた。
日本は1点差に迫るも直後のヘディングをノックオンと自己判断するミス
日本は過去10戦全敗のイングランドにまたしても歯が立たなかった。初戦で難敵のアルゼンチンを退けたイングランドは4トライをマークしてボーナスポイントまで獲得したが、意外にも英メディアは、その試合内容を酷評した。
批判の矛先が向けられる理由となったのは、日本には不運な“ヘディングアシスト・トライ”の場面。SO松田力也(29、埼玉)に4本目のPGを決められ、12-13と1点差に迫られた2分後の後半16分だった。
FLベン・アール(25)が右タッチライン際をゲイン。22mラインを大きく越えた位置で形成されたラックから左へ展開。SHアレックス・ミッチェル(26)からSOジョージ・フォード(30)、さらに途中出場していたPRウィル・スチュアート(27)へパスがわたる。
しかし、スチュアートがファンブル。ボールは右斜め後方にいたPRジョー・マーラー(33)に当たって前に弾んだ。次の瞬間、周囲にいた日本、そしてイングランドの選手もノックオンと判断して足を止める。ただ一人、プレーオンと判断したゲームキャプテン、FLコートニー・ローズ(34)がボールを拾い、誰にも邪魔されずにインゴールにボールを置いた。振り向いたローズは右手でボールを抱えたまま、左手で頭を指さしている。TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)の結果、ローズの仕草の意味が判明する。ボールはマーラーの頭に当たっていたために、ノックオンとはならなかったのだ。
フォードにコンバージョンキックも決められ、一気に8点差に広がった時点で試合の流れはイングランドに傾いた。
世界一を決めるW杯でめったに見られない“珍場面”を、英国のラグビー専門メディア『Rugby World』は皮肉を込めてこう報じた。
「周りにいた選手の大半は明らかなノックオンだと思って立ち止まった。しかし、頭の回転が速いローズだけがボールを拾い上げてゴールに飛び込んだ。イングランドを苦しめた日本代表の選手たちにとって教訓となったのは、常に笛が鳴るまでプレーすることだった。選手の頭がアシストする最も奇妙なトライで、イングランドは息を吹き返した」
タブロイド紙の『Daily Mail』も、イングランドが奪ったこの試合で2つ目のトライを「ローズの幸運」というタイトルとともに伝えている。
「イングランドの2トライ目こそが雑然とした、バラバラな試合展開を象徴している。イングランドは試合開始早々に14人になる数的不利のなかで、プールDの強敵アルゼンチンに27-10と大勝し、まさに浮かれ気分で第2戦に臨んだ。しかし3万5000人の観衆に希望に満ちた試合を見せたのは日本だった。勝利こそ収めたものの、イングランドは観衆の心をつかめなかった。フィジーがオーストラリアを破る華麗なラグビーを見せつけた直後とあって、最後まで美しさと対極にあったイングランドのラグビーはブーイングの対象となった」