一部サポ暴徒化問題で天皇杯参加資格はく奪の厳罰を受けた浦和が再発防止策と声明発表も中途半端な内容に疑問の声
日本サッカー協会(JFA)は19日、名古屋グランパスとの天皇杯4回戦(8月2日、愛知・CSアセット港サッカー場)で一部サポーターが暴力行為などに及んだ浦和レッズに対して、来シーズンの天皇杯参加資格はく奪などの処分を科すと発表した。JFAの規律委員会が決めたもので、史上初の懲罰を受けて浦和も公式HP上で6点の再発防止施策を発表した。浦和は、失われた信頼を取り戻すことができるのだろうか。
暴徒化した浦和サポーターが大挙して試合後のピッチに乱入し、暴力行為や破壊行為などに及んだ前例のない事案に対する処分が、発生から49日目ですべて確定した。
JFA内の独立した司法機関である規律委員会(委員長・高山崇彦/弁護士)が19日までに、浦和に対して来シーズンの天皇杯参加資格はく奪とけん責(始末書の提出)を科すと決定。同日夕方にJFAの公式HP上で懲罰の詳細が公表された。
Jリーグがスタートした1993シーズン以降で、Jクラブが天皇杯の参加資格をはく奪されるのは初めて。規律委員会は今回の事案を「日本サッカー史上、過去に類を見ない極めて危険かつ醜悪なもの」と位置づけ、さらに浦和サポーターがJリーグ及び天皇杯で引き起こした懲罰事案が、2000年以降だけで11件を数えている点に今回の厳罰を帰結させた。
「このような実態を直視すると、(浦和の)取り組みは十分ではなかったと言わざるを得ず、さらなる猛省と実効性のある再発防止策の策定及び実施を促すには、これまでと同様に罰金の処分を重ねたとしても、十分な効果は得られないと考えられる」
今回の事案は浦和が0-3で名古屋に大敗した直後に、名古屋サポーターから発せられた言葉に対して、一部の浦和サポーターが憤慨したのがきっかけとされる。しかし、規律委員会は「そうであったとしても、情状として汲むべき事情には当たらない」と厳しく指摘した上で、リリースの最後に異例とも言える浦和サポーターへの付言を記した。
「(違反行為の)実行者である本件サポーターらには、自らの行為がクラブに招いた結果の重大性をしっかりと受け止めてほしい。サポーターはクラブとその選手たちを心から応援し、愛する存在であるはずである。観戦ルールに違反する行為は、結果的に自分が愛するクラブ、ひいてはそのクラブを愛する多くの仲間たちを傷つけることになってしまう。そのことを自覚し、ルールを守って観戦していただくことを当委員会としても切に願うものである」
JFAは8月31日の臨時理事会で、暴力行為などに及んだ浦和サポーター17人に、国内で開催されるすべての試合における無期限入場禁止処分を科した。浦和もこれを受けて、17人にすでに科していた「浦和が出場する国内9試合の入場禁止」を「無期限」に修正。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)など国外での試合も対象に加えていた。