阪神の岡田監督が思わぬ悩みを抱える…横浜DeNAが“番長マジック”で競り勝ちCS出場決定も2位浮上のキャスティングボードは広島と戦う虎が握る
横浜DeNAが三浦大輔監督(49)の執念采配で3試合を残して2年連続5回目のクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。29日の阪神戦(横浜スタジアム)に7投手をつぎ込み5-3の逆転勝利をおさめた。2位の広島とは1ゲーム差。まだCS本拠地開催の可能性も残るが、その広島は今日30日、明日10月1日と阪神と2連戦。岡田彰布監督(65)は疲労を考慮してメンバーを落として戦うつもりでいたが「どっちかに手を抜くようになっても」と、横浜DeNA、広島の2位争いに配慮する悩める心境を明かした。
5回無死満塁のピンチを宮城、石川の“一人一殺リレー”で連続三振
三浦監督が2度マウンドに向かった。
4-3の1点リードで迎えた5回無死満塁で、先発の石田が3番の森下にボール球のチェンジアップを振らせて空振りの三振に打ち取ると、2回に特大の同点アーチを浴びた大山を迎えた場面で宮城にスイッチした。滋賀学園高から育成ドラフト1位で入団した23歳の5年目右腕。8月にプロ初登板を果たしたばかりだ。
「まだ回も浅い。伊勢、上茶谷は早い。思い切って若い力にかけた。宮城には大変なところでいってもらったが、表情を見ても、落ちついていた。マイペースなのかもしれないが」
三浦監督は「思い切っていけ!」とだけ伝えた。
三塁走者はミエセスだったが、外野フライでも同点に追いつかれる絶体絶命のピンチで宮城は、最速152キロのストレートで押し込み、フルカウントになってから、インローへ148キロのストレートをズバッ。球審は右手を上げ、大山は不服そうな顔を浮かべてベンチへと下がった。
「あの場面でマウンドに上げてくれた監督に感謝した。1点もやれない場面だったので自分の気持ちも入っていました。とにかくガンガン行くしかないと思って覚悟を決めて腕振りました」
2者連続三振で二死となり、この日、2打席連続二塁打を放っていた佐藤を迎えると、三浦監督は、今度は左腕の石川に交代した。
石川もまた法政大から育成ドラフト1位で入団した25歳の3年目の左腕。ここまで27試合に登板して防御率1点台の頼れるワンポイントに託した。
一人一殺の執念采配である。
石川はサトテルに対して変化球で揺さぶり、フルカウントになりながらも最後は148キロのストレートを外角高めに投げ込みバットに空を切らせた。
渾身のガッツポーズ。
「石田さんも粘って投げていましたし、宮城が三振で抑えたのを見て僕も勇気をもらいました。ストライクゾーン行ってくれという思いだけで投げました」
三浦監督はベンチで若い2人のヒーローに感服していた。
「(2人は)堂々としていた。最高のボールを投げて最高の結果を出してくれた。今後の野球人生につながる大きなものになったと思う。何かのきっかけにしてもらいたい」
勝てばCSが決まる重要な試合での成功体験は、若い2人の投手にとって、かけがえのない収穫となった。