「ケガを狙った醜いプレー」「もっと大きな不祥事に」審判への脅迫疑惑にスタッフ威嚇…日本に敗れた北朝鮮の“暴挙”に初代チェアマン川淵三郎氏や韓国メディアが怒りの声
中国・杭州で開催中のアジア大会男子サッカー準々決勝で1日、前代未聞の騒動が起こった。日本代表が2-1で北朝鮮代表を下した直後に、決勝点となったPKの判定に不満を募らせる複数の北朝鮮選手が声を荒らげて審判団に詰め寄った。試合中からラフプレーが目立った北朝鮮は、6枚のイエローカードをもらったが、そのなかには日本のスタッフへの威嚇行為が対象となったものもあった。スポーツマンシップに欠けた行為の数々を韓国メディアやJリーグ初代チェアマンの川淵三郎氏(86)は厳しく非難した。
「主審が公正でなければ、サッカーに対する侮辱」
試合が終わったばかりのピッチで、前代未聞の騒動が繰り広げられた。
ウズベキスタン人の主審が、日本の勝利を告げる試合終了の笛を鳴り響かせた直後。北朝鮮のキャプテン、DFチャン・グクチョルが何かを叫びながら主審へ近づいてきた。決勝点となった後半35分のPKを巡る判定に試合中から不満を露にしていたGKカン・ジュヒョク、さらにDFキム・ギョンソクらも血相を変えて詰め寄ってくる。
危険を察知した大会スタッフが審判団を遠ざけたが、カンやキム・ギョンソクらが追い回していく。ベンチから駆けつけたシン・ヨンナム監督が興奮する選手たちを引き離したものの、殺伐とする光景を日本の大岩剛監督(51)らも呆然とした表情で見つめていた。
韓国メディアの『Edaily』は「北朝鮮の男子サッカーが準々決勝で日本に敗退…終了後に審判への脅迫疑惑が浮上」と題した記事で、騒動の詳細を報じた。
「北朝鮮の選手たちは試合後に審判団に詰め寄り、体と手で相手を押しのけるなど激しく抗議して荒れた雰囲気を作り出した。日本の決勝ゴールにつながった主審のPK判定に不満を示したのだ。怒りを抑え切れなかった選手たちを北朝鮮のコーチングスタッフが止めなかったら、もっと大きな不祥事が起きていたかもしれない」
同メディアはさらに、ヨンナム監督自らがPKは主審の誤審だったと主張した、試合後の記者会見の様子や今後に訪れる展開も伝えている。
「北朝鮮のヨンナム監督は試合後の記者会見で『2、3人の選手が主審の間違った判定に少し興奮したのは事実』とした上で『主審が公正でなければ、サッカーに対する侮辱だと思う』と荒れた選手たちをむしろかばった。試合終了後に起きた騒動だが、選手が公式試合で審判を押しのけ、脅した行為は問題視される可能性がある。今後、国際サッカー連盟(FIFA)やアジアオリンピック評議会(OCA)から処分が下されるかもしれない」
パリ五輪世代となるU-22代表を参戦させている日本は、前半を0-0で折り返した直後の後半6分にFW内野航太郎(19、筑波大)のゴールで先制。29分に追いつかれたが、MF西川潤(21、サガン鳥栖)がカンに倒されて獲得したPKを、35分にMF松村優太(22、鹿島アントラーズ)が決めて勝ち越し、その後も冷静に試合を運んで逃げ切った。
PKが宣告された直後も、北朝鮮の選手たちは主審へ激しく抗議している。さらに見逃せなかったのが、日本の選手たちを襲った激しいファウルの数々となる。大半がラフプレーで、前半5分を皮切りに6枚ものイエローカードが北朝鮮へ提示された。