森保監督と久保建英の試合中“戦術会談”の内容が判明…海外組からの“戦術逆輸入作戦”で日本は強くなれるのか?
サッカー日本代表の森保一監督(55)が16日、チュニジア代表との国際親善試合(17日、ノエビアスタジアム神戸)の前日公式会見に臨み、13日のカナダ代表戦の後半開始前に、ベンチ前でMF久保建英(22、レアル・ソシエダ)とかわした異例の会話の内容について「ソシエダのビルドアップを聞いた」と明かした。久保も「監督はいろいろな選手に聞いている」と言及。主力の大半をヨーロッパ組が占める状況の中、選手が自身の経験のもとに持ち寄る情報に指揮官が耳を傾ける“戦術逆輸入作戦”は日本代表を強くしていくのだろうか。
レアル・ソシエダのビルドアップ手法を聞く
口の動きを読み取られないように右手で覆い隠した久保が、左手でピッチを指さしながら森保監督に何かを伝えている。13日のカナダ戦のハーフタイム明けに日本のベンチ前で繰り広げられた、異例とも言える会話の内容が明らかになった。
チュニジア戦の舞台となる、ノエビアスタジアム神戸内で行われた前日公式会見。中継していた地上波テレビで大々的に映し出され、SNS空間を「久保建英ヘッドコーチ」や「将来の代表監督」などといった言葉とともに騒がせたシーンについて、森保監督は「詳しくはお話できないが」と断りを入れた上で、戦術的な点を久保に聞いていたと明かした。
「久保が普段所属しているレアル・ソシエダで、ゴールキックからのビルドアップの部分でどのようにしているのか、というのを少し聞いていました」
代表チームを率いる監督が、自らが招集した選手からあれこれと学ぶ。それも、国際親善試合が折り返しを迎えていた衆人環視のスタジアムで。森保監督を大胆な行動へと駆り立てたのは、カナダ戦でベンチスタートとした久保と、右サイドバックとして先発させていた毎熊晟矢(26、セレッソ大阪)が後半開始直前にかわしていた会話の内容だった。
「選手同士で話をしていたので、何を話しているんだろうと思って聞いてみたら、それが(最終ラインからの)ビルドアップで、結果的にその話になりました」
第二次政権が船出した今年3月以降で、森保ジャパンはボールを保持する時間を増やすという共通理解のもと、ゴールキックから短いパスをつなぐビルドアップを標榜している。理想が具現化したのが6月20日のペルー代表戦の前半37分だった。
ゴールキーパーの中村航輔(28、ポルティモネンセ)から短いパスを右サイドへ展開。延べ5人のフィールドプレーヤーを介して流れるようにボールを前方左サイドへ運び、最後はMF三笘薫(26、ブライトン)のゴールで締めくくった。
その間、わずか20秒あまり。相手に一度もボールを触らせない完璧な攻撃に、ビルドアップに関わった右サイドバックの菅原由勢(23、AZ)は胸を張っていた。
「あれこそが僕らがやろうとしている攻撃です。相手が前から来ているからといって臆さずにビルドアップして、いいポジションを取って、みんなで関係を持ちながら連携していく。そのなかですごくいい崩しに、すごくいいゴールになりました」
もっとも、カナダ戦は勝手が違った。