「日本のプレーはサッカーを汚している」中国メディアがなでしこJのパリ五輪最終予選を見据えた「得点を取らない」戦略を痛烈批判…「恥を知れ。問題は日本じゃない」の反対意見も
女子サッカーのパリ五輪アジア2次予選でウズベキスタン女子代表に2-0で勝利したなでしこジャパンが、来年2月の最終予選での組み合わせを見据え意図的に追加点を奪いにいかなかった試合の波紋が大きく広がっている。特に中国が日本の戦略の煽りを受ける形で、2次予選敗退が濃厚になったため、同国メディアは、「サッカーというスポーツを汚している」と公然と非難、激しい怒りの声をあげている。
「日本は信じられないチームだ」
90分間の80%以上をパス回しで終え、賛否が飛び交った、なでしこジャパンの試合運びに対する波紋が、一夜明けて海外にも広がった。
なでしこの戦い方を公然と非難したのは、中国の総合ニュースサイト『捜狐』。なでしこが2-0でウズベキスタンを下した煽りを受ける形で、同国女子代表のパリ五輪出場が絶望的になった状況に「日本のプレースタイルは、サッカーというスポーツを完全に汚している」と激怒。意図的に追加点を狙わなかった日本の戦略を厳しい言葉で一刀両断した。
「中国女子代表がタイから待望の初勝利をあげたその日に、別の試合会場から届いたニュースは、彼女たちの努力を無に帰すかもしれない。五輪予選のようなレベルの高い競争で、相手チームとの暗黙の了解のもとでプレーするチームが現れるとは誰も思わなかった。その信じられないチームとは、女子W杯で優勝した実績を持つ日本女子代表だった」
「初戦でインドに7-0で勝利した日本は、素晴らしい運動能力を披露した。私たちは続く第2戦でもウズベキスタンに惨めな敗北を与えるのは確実だと見ていた。しかし、試合は日本が2点目を奪った前半15分で早々に終了した。残された75分間で日本はまともな攻撃をいっさい仕掛けず、シュートも放たない無目的なパス回しに終始したからだ」
同メディアによれば、なでしこのボールポゼッション率は異例の93%に達したという。最終ラインを中心になでしこが無難にパスを回し、対するウズベキスタンも自陣にブロックを敷いたまま、ボールを奪おうとしない展開が延々と続いたのだから当然だ。
一方の敗戦を受け入れたウズベキスタンの反応はどうなのか。同国メディアの『championat.asia』は、日本女子サッカー界の黎明期を支えたレジェンドの一人で、昨年1月からウズベキスタンを率いる本田美登里監督(58)の試合後のコメントを伝えている。
「日本が私たちよりも強いと認めざるをえません。そこで私たちが反撃に出れば、日本が(カウンターから)さらにゴールを積み重ねる可能性がありました。得失点差は次のラウンドへ進む上で非常に重要であり、私たちはこうした側面を確実に実践した形です」
来夏のパリ五輪出場をかけたアジア2次予選は、12カ国がAからCまで3つのグループに分かれて、26日からオーストラリア、中国、ウズベキスタンでそれぞれ集中開催されている。4カ国が同最終予選に進み、わずか2枚しかないアジア大陸枠を争うなかで、最終予選の組み合わせを巡る煩雑なレギュレーションが今回の騒動の背景にある。
各グループの1位と2位の最上位国が進む最終予選は、4カ国が2組に分かれて来年2月24日と28日にホーム&アウェイで対戦。勝者がパリ五輪に出場する戦いは、2位の最上位国がどのグループから出るかによって組み合わせも変わってくる。