なぜ横浜DeNAドラフト3位の武田陸玖は異例の「ハマの二刀流」を宣言したのか…大谷翔平の大成功例はあるが根尾昂は途中断念
横浜DeNAの2024年度新入団選手記者発表会が24日、横浜市内のホテルで行われ、先のドラフト会議で指名された支配下選手6、育成選手5の計11選手がユニフォーム姿で勢ぞろいした。3位で入団した武田陸玖(りく、18、山形中央高)は「投手兼外野手」として紹介され、同席した三浦大輔監督(49)の前であらためて二刀流挑戦を宣言した。投げては最速149kmを誇る本格派左腕、打っては高校通算31本塁打を放った左のスラッガーが、エンゼルスの大谷翔平(29)以外に成功例のない「ハマの二刀流」に挑む。
投げては最速149km&打っては高校通算31本塁打
記者発表会の開始を直前に控えた、横浜市内のホテル会場がちょっぴりざわついた。事前に配布されたA4版の新入団選手プロフィール一覧で、山形中央高からドラフト3位で入団した武田のそれが2箇所にわたって掲載されていたからだ。
もっとも、内容を注視すると誤りではないことがわかった。ひとつは投手として、もうひとつは打者としてのプロフィールが記されていた。横浜DeNAとして二刀流挑戦を認めた証として、武田の選手紹介はこんな形でアナウンスされた。
「ドラフト3位指名 武田陸玖 山形中央高等学校 投手兼外野手 背番号33」
横浜DeNAの新入団選手記者発表会では、選手たちが率直な気持ちを所信表明として色紙に書き込み、さらにファンに呼ばれたい愛称を「ハマの――」として発表するのを恒例としてきた。武田は前者を「自信」と、後者を「ハマの二刀流」とそれぞれ発表した。
さらに同席した三浦監督の前で、その理由を説明した。
「自分は『自信』という文字にしました。この文字にしたのは、どんなときでも自分を信じる、ということが一番大切だと思ったからです。自分はみなさんから『ハマの二刀流』と呼んでもらえるように頑張りますので、応援よろしくお願いします」
山形県天童市で生まれ育った武田は、2人の兄の背中を追うように小学校1年生で野球を始め、6年生のときにはプロ野球・楽天のジュニアチームでプレー。山形中央高に入学した直後からベンチ入りすると、同点の秋からエースを拝命。マウンドに上がらないときには、一塁手や外野手としてプレーする二刀流選手として活躍してきた。
2年生の夏に続いて3年生の夏も山形県大会決勝で敗れるなど、武田は甲子園に出た経験はない。それでも投打の両方で注目を集めてきた非凡な実力は、8月から9月にかけて台湾で開催されたU-18W杯に臨んだ日本代表でのプレーで証明される。
武田は投手として3試合に救援登板し、計5回3分の1で被安打2、奪三振5で無失点に封じ、韓国戦では自己最速の149kmをマーク。打者としては主に4番を務めて打率.364をマークするなど、投打の中心として悲願の世界一獲得に大きく貢献した。
複数の球団がドラフト会議へ向けてリストアップしたなかで、横浜DeNAは特に高校通算31本塁打を放った打者としての武田を「ずば抜けている」と高く評価。3位で単独指名し、8日に契約金5000万円、年俸560万円(ともに推定)で仮契約した。
もっとも、交渉の過程で武田はプロ入り後も二刀流に挑み続けたいと希望する。最終的に「投手兼外野手」で入団した理由を、武田はこう説明した。
「球団との話し合いのなかで『全力でサポートする』と言っていただきました。これからも『ともに話し合い、協力し合いながら頑張っていこう』とも言われています」