元阪神の高山俊はオイシックス新潟アルビの“ノムさん方式”で再生しNPB復帰できるのか…コーチ兼任要請を拒否してバット1本で勝負
来季からイースタンリーグに新規参入するオイシックス新潟アルビレックスベースボールクラブが5日、元阪神の高山俊(30)の入団内定を発表した。高山は2016年の新人王。新潟でのプレーを足がかりにNPB復帰を狙うが、トライアウトでプレーを見定めた巨人、楽天、西武などでコーチを務めて阪神OBでもある橋上秀樹監督(58)は「復帰の可能性は十分にある」と太鼓判を押した。“再生工場”として知られた“名将”故・野村克也氏のID野球を引き継ぐ橋上監督は“高山再生プラン”を練っている。
「全身全霊でプレーする」
元虎戦士の高山が新潟からのラブコールに応えて現役続行を決断した。
5日、球団の公式ホームページを通じて熱い思いをこうファンに伝えた。
「この度、オイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブに入団させていただく事になりました高山俊です。まず初めに私に野球をする環境を与えていただいた新潟球団にとても感謝しております。私が入団するにあたり、今季でこのユニホームを脱ぐことになった選手の思いも背負い、全身全霊でプレーさせていただきたいと思います。新潟の皆さん、是非球場に足を運んでいただき共に新潟を盛り上げていきましょう」
来季からプロ野球の2軍に新規参入する球団サイドは、タイガースで8年間プレーしてきた高山の実績と経験、その理論を評価して打撃コーチ兼任のプレーヤーとしてオファーしていたが、高山は「選手1本で勝負させてほしい」と拒否。“本気の思い”を明かしたという。「全身全霊でプレーしたい」との言葉に嘘はない。
橋上監督も高山の入団を手放しで喜んだ。
「一番の目玉が高山だったので決断してくれて嬉しいですね。頼もしい戦力です」
すでにNPBの戦力外として2017年の最高勝率タイトルホルダーである元広島の薮田和樹、元横浜DeNA、巨人の三上朋也、今季のウェスタンリーグの最多セーブ王である元阪神の小林慶祐の3投手に加え、元ヤクルトの中山翔太らの入団が内定している。橋上監督ら新潟の首脳陣は、11月15日に千葉の鎌ケ谷スタジアムで行われたトライアウトを視察に訪れたが、高山が打席に立つと、入場券が完売となった観客席からの拍手や歓声がひと際大きくなり、ヒッティングマーチを大声で歌っているファンもいて、改めて人気の高さに驚かされたという。新規参入球団としては、高山が持つ観客動員力への期待も大きかった。
新潟はウエスタンリーグに加わる静岡を本拠地とするハヤテ223と共に1軍を持たない特殊な形でのNPBへの参入となる。イースタンリーグで勝つことと同時にNPB復帰を目指す選手を再生させ、NPBにドラフト指名される選手を育成したいという、もうひとつの目標がある。今季は独立リーグのBCリーグに所属していたが、ショートの伊藤琉偉はヤクルトにドラフト5位で指名された。
今季は独立リーグから育成も含めて史上最多となる23人がドラフト指名されたが、橋上監督は「2軍と直接対戦するので、スカウト、編成は、より選手の力を把握しやすくなると思う。7月末までの途中移籍、あるいはドラフト指名される選手が増えると思うし独立リーグよりもNPBへの近道になるでしょう」と言う。
もちろん高山もNPB復帰をあきらめていない。コーチ兼任を蹴ってまでバット1本勝負を求めたのは、その証拠だ。