現役ドラフトで今年も衝撃ドラマ…巨人が“日本一”阪神からドラ1右腕の馬場皐輔を獲得…中継ぎ版の成功となるか?
プロ野球の現役ドラフトが8日行われ、日本一の阪神からは今季防御率2.45の中継ぎ投手の馬場皐輔(28)がリストアップされ、なんとブルペン補強がテーマのライバル巨人が獲得した。馬場は2017年のドラフト1位。まさに敵に塩を送る衝撃的な現役ドラフトとなった。また巨人からは北村拓己(28)がヤクルトに移籍。阪神は、オリックスから中継ぎ右腕の漆原大晟(27)を指名した。また今年度も2巡目は実施されなかった。
中継ぎ補強がテーマだった阿部巨人
現役ドラフトでやはりドラマが起きた。豊富な中継ぎ陣が揃っていることから、今季は19試合しか出番のなかった“日本一”阪神の馬場が巨人に指名された。
今季4位に終わった巨人のチーム防御率はリーグ5位の3.39。阿部新監督のオフの補強ポイントは投手陣だった。シーズン途中にオリックスからのトレードで鈴木康平を獲得したが、抑えの大勢につなぐまでの中継ぎを構築できず「魔の8回」と揶揄された。ここまで中継ぎ強化のためにソフトバンクとのトレードでサブマリンの高橋礼、泉圭輔を獲得、オリックスからも金銭トレードで近藤大亮を獲得。日ハムとの競合の末、阿部監督が引き当てたドラフト1位の155キロ右腕の西舘勇陽(中央大)にはセットアッパーとしての期待が寄せられているが、計算の立つ補強は、まだなかった。その意味で馬場の加入は、このオフ最大の戦力補強と言っていいかもしれない。
馬場は、仙台育英―仙台大を経て2017年のドラフト1位で阪神に入団した。阪神は清宮幸太郎(日ハム)をまず1位入札しクジを外すと安田尚憲(ロッテ)を外れ1位で入札したが、これもクジで外して馬場に白羽の矢を立てた。
馬場はプロ入り3年目の2020年から中継ぎとして頭角を現し、この年、32試合に登板して防御率2.08、9Hの成績を残した。2021年も勝利の方程式の一人として44試合に登板、防御率3.80、3勝10ホールドの結果を残した。2022年は7試合の登板にとどまったが、今季は150キロを超えてくるストレートと鋭く落ちるフォークが復活。だが、右腕の中継ぎ陣には、石井大智、加治屋蓮、浜地真澄らがいて、彼らが調子を落としたタイミングにしか出番が回ってこなかった。
11月24日に550万円アップの年俸3500万円(いずれも推定)で契約を更改していた馬場は、来季の目標を「60試合は投げたい」としていた。巨人ならば、その目標は達成できるかもしれない。
セ・リーグでタイトルを獲得したことがあるOBの一人は、「これは馬場にとっても巨人にとってもいい現役ドラフトになったと思う。馬場は間違いなく登板数が増えて結果を出せば給料もアップするだろう。阪神にとっては、敵に塩を送る形になったが、現役ドラフトの主旨を理解し、馬場の未来を考えたと思う。昨年の現役ドラフトでは、阪神の大竹、中日の細川が大成功したが、馬場は、その中継ぎ版の成功例を作る可能性がある」と、馬場の巨人移籍を高く評価していた。
来季の開幕カードは巨人―阪神戦。馬場が大事な場面でマウンドに上がり古巣に恩返し登板を果たすかもしれない。
その阪神は、オリックスから同じく右腕の漆原を獲得した。漆原もまた宇田川優希、山崎颯一郎というトップクラスの中継ぎ右腕を揃えるオリックスの投手陣から押し出され、今季は16試合、防御率3.00、1ホールドで終わっていた右腕。新潟医療福祉大から2018年に育成ドラフト1位でオリックスに入団し、150キロを超えるストレートと、落差のあるフォークを武器に2021年の序盤にはクローザー抜擢を受けたこともあった。同大学では阪神の桐敷拓馬の3年先輩にあたる。漆原も11月28日、100万円ダウンの年俸1450万円(いずれも推定)で契約を更改していた。