ドジャースは大谷翔平に支払う1015億円の元をとれるのか?
エンゼルスからフリーエージェント(FA)となった大谷翔平(29)のドジャース入りは全米に衝撃を与えた。当初は5億ドル(約725億円)から6億ドル(約870億円)と予想されていた契約金額は10年7億ドル(約1015億円)という史上最高額となった。年俸に換算すれば7000万ドル(約101億円)。親切にも日給、時給にも換算しているメディアもあって日給は、約2781万円、時給は約116万円になるそうだ。
ドジャースは、これだけの大番振る舞いをして元を取れるのだろうか。
10年連続でド軍の観客動員数は全米トップ
米経済誌フォーブスが評価したドジャースの球団価値は2022年度で2位となる48億ドル(6960億円)だった。今年度の総年俸は30球団中の6位となる2億4027万ドルで、フレディ・フリーマンの2700万ドル(約39億円)がチームトップだったが、大谷の7000万ドル(約101億円)が突出することになる。贅沢税の負担を減らすために、大谷自ら、そのほとんどを後払いにすることを申し出たそうだが、それでも5000万ドル(約72億5000万円)は支払うとされている。
ドジャースの資金力の原資は独自に持つ地域でのテレビ放映の収入だ。メジャーは放映権を一括で管轄しているが、ヤンキースやドジャースのように独自局の収入からは、機構側が“税”という名の手数料を取れないシステムとなっており、その“無税”収入が大きく影響している。
加えて、ロスという市場の大きさがドジャースに恩恵をもたらしている。今季のドジャースタジアムでの観客動員はメジャートップの383万7079人。1試合平均4万7371人の人気を誇り、10年連続で首位の座を守った。過去34シーズンで300万人の動員を記録している。
そして、そのドジャースの今季の最多観客数をマークしたのが、7月8日の今季のエンゼルスとの最終戦で記録した5万3057人だった。この試合は、ドジャースが10―5で勝利したが、大谷が、最終打席で二塁打を放てば、サイクル安打を達成するという大暴れ。7回には特大の32号2ランを放ち、ドジャースファンを驚かせている。
ドジャースからすれば、この試合が大谷の持つ“営業力”を証明する大きな機会だったのではないか。ロスの市場規模の大きさはスポンサー集めやグッズ販売などにも直結し、入場収入以外の部分での収入も莫大だが、大谷が、その部分の収入をさらにプラスへ大きく転じさせる可能性が高い。
USAトゥデイは「すべてのドジャースの試合が、今後、日本で中継されることになり、ドジャースは、大谷の看板広告を南カリフォルニア全域に置くだろう。利益をもたらす日本のスポンサー広告が交代制でドジャースタジアムのホームベースの後ろに付けられるだろう。新たなスポンサーも出てくるだろう。商品の売り上げ、ユニホーム、帽子、肖像権…。大谷の名のつくこのすべてに影響が出る」と大谷の経済効果を分析した。
大谷は、エンゼルス時代に1年間に「グッズの売り上げや肖像権など」で2500万ドル(約36億2500万円)の売り上げを球団にもたらしたという。
同紙は「ドジャースなら2倍は見込める」と、大谷が1年で稼ぐ金額は5000万ドル(約72億5000万円)に上昇すると予想している。
あくまでも試算レベルだが、これだけで一部を後払いにした上での大谷の1年の年俸の5000万ドル(72億5000万円)はペイできることになる。