「統一戦で井岡一翔にリベンジしたい」2.24両国で世界最速の4階級制覇を狙う田中恒成が激アツ覚悟を語る
プロボクシングの「PrimrVideo Presents LiveBoxing6(1月23日・エディオンアリーナ大阪)、及び同7(2月24日・両国国技館)」の2大会のカード発表会見が14日、東京ドームホテルで行われた。両大会で合わせて5つの世界戦が組まれた豪華興行だが、会見に出席した9選手の中でひと際、熱い思いを語ったのが、2.24両国でWBO世界スーパーフライ級王座決定戦に挑む元3階級制覇王者の田中恒成(28、畑中)だ。3年前の大晦日で現WBA世界同級王者の井岡一翔(34、志成)にTKO負けして以来の世界戦。あきらめかけたこともあったという田中は4階級制覇、4団体統一を目標に掲げ「統一戦で井岡にリベンジしたい」との秘めた気持ちを明かした。同級2位のクリスチャン・バカセグア(26、メキシコ)に勝利すれば、世界でも最速となる21戦目での4階級制覇となる。なお試合は「Amazon Prime Video」にて独占生配信される。
「あきらめかけたこともある」
あの屈辱の大晦日以来の世界戦のリングとなる。
名古屋からやってきた元3階級制覇王者は熱い思いを口にした。
「ちゃんとここまでたどり着けたという思いがある。3年前に成し遂げられなかった4階級制覇を成長したボクシングを皆さんに見せつつ、KOで成し遂げたい」
田中は、3年前の大晦日で4階級制覇を狙い、当時のWBO世界王者だった井岡と指名試合で対戦したが、8ラウンドにTKOで敗れた。試合前には、田中の勢いが有利という声もあったが、いざゴングが鳴ると、すべてに圧倒されての完敗だった。
そこから3年の月日が流れた。
「これまでの人生で一番大きなチャンスに勝てずに自信を失った。あきらめそうになったときも、逃げそうにもなったときもあるが、自分と向き合って立ち上がってここまでこれた」
井岡戦に敗れてから再起戦までは1年かかった。
「引退までは考えていないが、思い描いた将来(にたどり着くこと)はもう厳しいのかなと」
だが、史上最速の日本人世界王者記録を作った男の「まだまだボクシングをやりたい。好きだなという気持ち」の火が消えることはなかった。
再び世界を目指す気持ちにスイッチが入ったのは、その再起戦の相手に選んだ“国内最強”石田匠(井岡)との試合だった。僅差の判定で勝利したが「あの試合で、このままじゃダメだ、と自分のなかで思った。やるなら本気で、もっと一種懸命、頑張らないと。中途半端な自分も嫌だった」という。
井岡戦で浮き彫りになったディフェンス技術の強化に取り組み、それがスパーリングで結果となって表れると、ますますボクシングが楽しくなり、モチベーションが上がった。
その後、3連勝。この5月には、井岡、ドニー・ニエテス(フィリピン)の両4階級制覇王者との対戦経験があるWBC世界スーパーフライ級13位のパブロ・カリージョ(コロンビア)を10回TKOで下して、今回の世界切符を手にした。
「負ける経験をして、ぶれない自分というか、多少のことで精神がぶれない自分が少しずつできてきた」
当初、IBF世界同級王者のフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)に照準を絞り、11月15日に両国で挑戦する予定だったが、自らの怪我で流れた。その後、WBO世界同級王者だった中谷潤人(M.T)が、2月24日の同じ興行で階級を上げてWBC世界バンタム王者のアレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)に挑戦する決断をしたため、WBO王座が空位となり、帝拳プロモーションの提案もあって田中は方向転換した。
「マルティネスを想定してやっていたが、現実はこうなった。そこは、あまり大きな問題ではない。とにかく早く世界に挑戦したいという思いがあり、(世界戦を)待ち望んでいた」