「井上尚弥のスタイルで井岡一翔からベルトを奪う」大晦日決戦でWBA王者の井岡に挑戦するペレスが“世紀の番狂わせ”を豪語した根拠と暴露した弱点とは?
大晦日に大田区総合体育館でWBA世界スーパーフライ級王者、井岡一翔(34、志成)へ挑戦する同級6位のホスベル・ペレス(28、ベネズエラ)が28日、志成ジムで公開練習を行った。史上2人目となる2階級4団体統一に成功した井上尚弥(30、大橋)の大ファンを自称するペレスは、「参考にしている井上のスタイルで井岡からベルトを奪う。自信は1000%だ」と豪語。陣営は井岡の弱点を指摘した上で攻略の手の内を明かす余裕を見せた。
異例の作戦公開
「完全なる練習を積み重ねてきた、100%、いや1000%の自信がある」
大晦日に井岡のベルトへ挑戦するため初来日したベネズエラ人は豪語した。
井岡陣営のトレーナーやマネージャーは公開練習を視察することなく不在だったが、王者のジムに乗り込んできて敵対心を見せるわけでも、虚勢を張っているわけでもなかった。友好ムードの中での発言だけになおさら不気味。
公開練習では、分厚いトレーナーを着たまま、ロープ、シャドー、ミット打ちを披露して、その後、ランニングマシンで長い時間、汗を流した。リミットまで「あと1キロほど」だそうだが、その動きは俊敏で長旅から前日に来日した疲れも見られなかった。
ペレスは、井岡から王座を奪うため特別な参謀を連れてきた。
1か月半前に「その実績とトレーナーとしての才能を評価してオファーした」と、井岡が対戦を熱望してギリギリまで交渉を続けていたWBC世界同級王者、ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)の専属トレーナー兼マネージャーのホセ・アルフレッド・カバジェロ氏と契約を結んだ。今回は、そのカバジェロ・トレーナー指導のもと、標高が2000mを超える高地のメキシコシティとメキシコ北西部ソノラ州エルモシージョにあるエストラーダの所属ジムで、1か月半、計80ラウンドのスパーを積み、そのメキシコから日本に飛んできたのだ。
「私は、長くプロの練習積み重ねて基本は備えている。いくつかの部分を改善するために彼の指導を受けたんだ」
カバジェロ・トレーナーも、「ペレスはとても若く、弾けるようなパワーがある、世界王者になりたいというハングリー精神にあふれている。今回、海抜の高い場所でトレーニングをやってきてスタミナもついた。井岡からタイトルを取ることになる」と断言した。
対戦が実現しなかったエストラーダの代役として大晦日の相手に指名されたペレスのメイントレーナーを、そのエストラーダの参謀が務めるというのも不思議な巡り合わせである。
そして質疑応答では、取材陣が「え?そこまで喋って大丈夫?」と、思わず引くほど、井岡を攻略する作戦のすべてをさらけ出した。
ペレスは、井岡について「いいボクサーだ。負けなしできている。左を多用するのが長所だ」と敬意を表した上で、弱点を「彼は正面での打ち合いを嫌う」と指摘した。
「オレは打ち合いが好きだ。打ち合う練習をしてきた」