なぜRIZINで平本蓮はYA-MANとの因縁マッチに判定勝利できたのか…榊原CEOは今年上半期に朝倉未来戦の実現を約束
総合格闘技イベント「RIZIN.45」が大晦日の12月31日にさいたまスーパーアリーナで行われ、MMAルールによる注目の因縁マッチは平本蓮(25、剛毅會)が3-0の判定でYA-MAN(27、TARGET SHIBUYA)を下した。平本が望む朝倉未来(31、JAPAN TOP TEAM)との対戦について、RIZINの榊原信行CEO(60)は「来年(2024年)の上半期にやるべきだろう、と思っています」との構想を明かした。
打撃戦でも平本が優位に立つ
時計の針が午前0時を回り、2024年の元日を迎えた直後に始まった大会総括会見。平本が熱望している未来との対決に関して、榊原CEOは「これもそんなに時間をかけてもしょうがない」と前置きした上で、注目すべき言葉を残した。
「来年(2024年)の上半期にやるべきだろう、と思っています」
同CEOが「これも」と言及したのには理由がある。今大会で最も大きな注目を集めたカード、平本とYA-MANの遺恨対決も急きょ決まった背景があるからだ。
発端はYA-MAN が朝倉をわずか77秒で衝撃KOした、昨年11月19日の「FIGHT CLUB」だった。YA-MANがプロデュースしたこのイベントを、平本はYouTubeなどで痛烈に批判。さらに当日はリングサイドへ観戦に訪れていたなかで、YA-MANがリング上から「平本、バーカ!お前、ぶっ飛ばすからな」と公然と喧嘩を売った。
その後もSNS上で激しく罵り合う2人に、格闘技ファンから自然と大きな注目が集まった。特に平本はSNS上で圧倒的な数のフォロワーを誇る。大晦日の「RIZIN.45」へ向けて、平本と別の選手のマッチメイクを進めていた榊原CEOは方針を変えた。
「この試合は朝倉未来の壮絶なKO負けがあったからこそ生まれたカードであり、今回のタイミングじゃなければ対戦する意味がなかったというか、組まれなかったんじゃないかと思う。そういう旬というものを上手くキャッチした結果としてこれだけの熱量が生み出され、受け手の方々へもビビッドに届いたんだろうな、と思っています」
大晦日に組まれた17カードのうち、14番目で登場した因縁マッチはノンタイトルながら、ともにタイトルがかかったセミファイナルやファイナルよりも大きな注目を集めた。榊原CEOも「何だかスリリングでワクワクする、という意味で今大会の事前プロモーションを平本とYA-MANが引っ張ってくれた」とチケット完売にひと役買ったと評価した。
試合そのものも、格闘技というよりは喧嘩だった。
フック系のパンチを繰り出すYA-MANと、ストレート系のそれを得意とする平本。被弾をまったく恐れない両者のパンチが、相手の顔面付近を次々とかすめる展開に会場が何度もどよめく。しかし、時間の経過とともに的確にカウンターをヒットさせる平本が優位に立ち、2Rに入ると平本がテイクダウンに持ち込んでYA-MANの体力を削っていく。
ここでも平本の冷静な観察眼が、戦況を大きく動かしていた。
「本当にめちゃくちゃ打たれ強くて。バチーンと当たったカウンターが5、6発あったのにゾンビだと思ったのでテイクダウンを混ぜていった。試合前に『俺にテイクダウンに来たらとんでもないことになる』とか『俺にテイクにきたら後悔する』とやたらと言ってきたので、グラップリングで来られるのがかなり嫌だったんだろうなと思っていた」