箱根駅伝2つの注目点…往路完勝の青学大は逃げ切れるのか…16校一斉同時スタート“大混雑”はシード権争いに影響を及ぼすのか?
第100回箱根駅伝の往路が2日、 東京の大手町発、神奈川の芦ノ湖着の 107.5キロコースで行われ、青学大が新記録となる5時間18分13秒で2年ぶり6度目の往路優勝を果たした。青学は1区で駒澤大と36秒差の9位スタートとなったが、2区の黒田朝日(2年)が7人抜きの区間賞の快走をみせて2位に浮上。続く3区でも太田蒼生(3年)が日本人史上初の“1時間切り”となる59分47秒(区間賞)の激走でトップに立ち、4区、5区とリードを守った。史上初の2年連続“学生駅伝3冠”を狙う駒澤大は2分38秒差の2位。城西大が3位、東洋大が4位、早大が5位と続く。今日3日の復路で青学大は逃げ切るのか。駒大ら他校の逆転はあるのか?
「10分以内」のルールで8位以下の16校が一斉同時スタート
往路はスリリングな展開になった。最初に仕掛けたのは王者・駒大だ。
当日変更で1区にハーフマラソン日本人学生記録保持者の篠原倖太朗(3年)を投入。区間歴代2位の好タイムで飛び出しに成功した。2区鈴木芽吹(4年)もトップを快調に突き進み、前回区間賞を獲得した中大・吉居大和のタイムを2秒上回る1時間06分20秒で走破。10000mで日本人学生最高記録を持つ3区佐藤圭汰(2年)も区間歴代2位の1時間00分13秒で走ったが、それ以上に青学大が凄まじかった。1区荒巻朋熈(2年)が駒大と35秒差で粘ると、2区黒田朝日(2年)が区間歴代4位の1時間06分07秒で区間賞を奪う。さらに3区太田蒼生(3年)が圧巻だった。駒大のスピードキングに7.6㎞で追いつくと、終盤引き離す。日本人最高記録を1分08秒も塗り替える59分47秒で突っ走ったのだ。
1~3区は、ほぼ100点満点だった駒大に対して、青学大の2区と3区は〝120点〟ともいえる走りで反撃。昨年の箱根駅伝4区から続いていた駒大の連続区間1位通過記録を「23」で阻止すると、快走が止まらない。
4区佐藤一世(4年)が区間賞、5区若林宏樹(3年)が区間新(区間2位)。往路記録を3分03秒も短縮して、2年ぶり6度目の往路Vに輝いた。2位の駒大に2分38秒、3位の城西大に3分17秒、4位以下には7分以上の大差をつけた。
青学大・原晋監督は、「素直にうれしい。駒沢1強と言われたなかで、『負けてたまるか!大作戦』、本当に学生が頑張ってくれました」と笑顔を見せると、翌日に向けても、「伝統的に青山学院は復路強いですから。明日走る学生たちも堂々と、自信を持って、輝いて走ってほしい。後続を引き離して、大会新で優勝したい」と復路メンバーにも大きな期待をかけた。
一方、往路で青学大に完敗した駒大・藤田敦史監督は、「3区太田君の走りが想像以上でしたね。精神的な部分で動揺があったと思います」とレースを振り返った。前回5区を務めた山川拓馬(2年)は全日本大学駅伝(8区区間賞)の後に故障があり、練習ができない時期があったという。そのため今回は4区にまわったが、区間6位と苦しみ、青学大の背中に近づくことはできなかった。それでも復路に向けては、「チャンスはめぐってくると信じてやりたい」(藤田監督)と勝負の情熱は消えていない。
城西大は5区山本唯翔(4年)が期待通りの大活躍を見せて、往路は3位に食い込んだ。4位の東洋大とは3分49秒もの大差があり、過去最高順位(6位)の更新はもちろん、目標の「総合3位」が見えてきた。ただし、優勝争いに加わるほどの戦力は残っていない。
タイム差と実力を考えると、優勝争いは青学大と駒大の2校に絞られたと言ってもいいだろう。青学大がこのまま逃げ切るのか。それとも王者・駒大の大逆転があるのか。両校の戦力から考えてみたい。