なぜ“未完のスケーター”本田真凜は22歳で引退を決めたのか…今後彼女が向かう先は女優ではなく…
フィギュアスケートの元世界ジュニア女王の本田真凜(22、JAL)が11日に都内で会見を開き、今季限りで競技生活から引退することを発表した。明治大学政治経済学部4年生の本田は、なぜ引退を決意し、そして今後はどんな一歩を踏み出すのか。
決めていた大学4年生での引退
すべてを出し尽くした、完全燃焼の思いを募らせていたからか。上下純白のスーツに身を包んだ本田は、ひな壇で最後まで笑顔を絶やさなかった。
突然の引退表明から6日。都内で行われた引退記者会見に臨んだ本田は、22歳で現役生活に別れを告げる理由を、意外に聞こえる言葉に集約させた。
「大学4年生のこのタイミングで競技の場から離れるのは、ずっと前から決めていました」
明治大学政治経済学部の4年生でもある本田は今春に卒業する。大学生から社会人になる人生の節目が、なぜ現役引退と結びつくのか。答えは本田の競技人生にある。
本田は2歳でフィギュアスケートを始めた。他にアイスホッケーや体操、水泳、テニス、ピアノを数えた習い事のひとつは、時間の経過とともに特別な存在に変わっていった。理由のひとつに3歳年上の兄、元フィギュアスケーターの太一さん(25)の存在があった。
「お兄ちゃんにだけは負けたくない、追いつきたいという気持ちになりました」
こう振り返った本田は、14歳で出場した2016年3月の世界ジュニア選手権で、日本人として7人目の優勝を果たして一気に注目を集める。もっとも、このときすでに「16歳になるタイミングで、フィギュアスケートをやめようと考えていた」と明かす。
「正直に言うと、いつやめてもいいという感覚でした。好きなものをもっといっぱい食べたいし、好きなことをたくさんしたいと思っていたんですけど……」
しかし、16歳での引退は本田自身が撤回した。シニアに転向するも苦戦を強いられ、目標に掲げていた平昌冬季五輪出場も逃した2017-18シーズン。実際に2017年の年末に競技から離れてみたが、すぐに思いとどまったと本田は振り返った。
「自分にとってはすごくつらいシーズンではありましたけど、フィギュアスケートがなくなる生活が自分のなかでは考えられなかった。実際に休むと罪悪感を覚えたというか、早く練習をしなきゃ、という気持ちになって、結局4日間しか休みませんでした」
現役を続行させた本田だったが、大学卒業をキャリアの節目にすると示唆した時期もあった。そして、決定的な光景を目の当たりにする。2020年12月末に行われた全日本選手権をもって、関西大学4年生だった太一さんが現役を引退したときだった。