「贖罪のゴール」と「狂気のセーブ」“ミラクル韓国”が終了間際の同点弾からPK戦を制して16強対決でサウジアラビアを撃破
サッカーのアジアカップ決勝トーナメント1回戦が30日(日本時間31日)、カタールで行われ、韓国代表が1-1から突入したPK戦を4-2で制してサウジアラビア代表を下し、8大会連続14度目のベスト8進出を決めた。敗色濃厚の試合終了間際にFWチョ・ギュソン(26、ミッティラン)が起死回生の同点弾を一閃。延長戦をへて突入したPK戦ではGKチョ・ヒョヌ(32、蔚山現代)が相手の3人目と4人目を続けて阻止した。ここまでの戦いに批判的だった韓国メディアも「贖罪のゴール」「狂気のセーブ」と絶賛。2月2日(日本時間3日)の準々決勝ではオーストラリア代表と対戦する。
10分が表示された後半アディショナルタイムが、気がつけば残り1分半に減っていた。スコアは後半開始わずか33秒でサウジアラビアが先制したのを最後に動かない。ベスト16敗退へのカウントダウンが始まろうとしていた韓国に救世主が舞い降りた。
右サイドから放たれたクロスを、ファーサイドでMFソル・ヨンウ(25、蔚山現代)が折り返したゴール前。混乱をきたしたサウジアラビア守備陣の間隙を縫うように飛び込んできた、途中出場のチョ・ギュソンが値千金の同点弾を頭で叩き込んだ。
グループステージで全3試合に先発するも無得点。ヨルダン、マレーシア両代表と引き分け、グループEをまさかの2位で通過する“戦犯”にあげられていた26歳のストライカーを、韓国メディアの『Xportsnews.com』は「贖罪のゴールを決めた」と報じた。
「まさにチョ・ギュソンのための舞台だった。グループステージの3試合で前線において孤立し、無得点にとどまっていた彼は、国内のサッカーファンから非難される一人になっていた。普段プレーするデンマークで芸能番組に出演した一件が問題視されただけでなく、ヘアバンドを着用するくらいなら長髪を切れとも攻撃された。それでも彼は『気にしない』と前を向き続けた。そして、カタールW杯のガーナ戦で2ゴールをあげ、国民的スターになったエデュケーションシティ・スタジアムで再びまばゆい輝きを放ってみせた」
そのまま突入した延長戦。波状攻撃を仕掛けるも逆転ゴールを奪えず、1-1のままPK戦に臨んだ韓国にもう一人のヒーローが現れた。
サウジアラビアのPKを連続して阻止。劇的な勝利を呼び込んだGKチョ・ヒョヌを、別の韓国メディアの『my daily』は「狂気のセーブ」と称賛した。
「チョ・ヒョヌがPK戦の主人公になり、韓国に準々決勝行きのチケットを手繰り寄せた。彼はサウジアラビアの3人目、4人目のPKを完璧にセーブしてみせた。対する韓国は1人目から4人全員が成功させて8大会連続のベスト8進出を決めた」
韓国は正守護神キム・スンギュ(33、アル・シャバブ・リヤド)が、バーレーン代表とのグループステージ初戦後に右膝前十字靱帯を断裂して戦線離脱。代わりにゴールマウスを守ったチョ・ヒョヌだったが、2試合で5失点を喫して非難されていた。
そのチョ・ヒョヌの前にサウジアラビアが立て続けに外した直後。韓国の4人目、FWファン・ヒチャン(28、ウルヴァーハンプトン)がPKを蹴る前に、サウジアラビアを率いる名将ロベルト・マンチーニ監督(59)が自ら退席してしまった。
ラツィオやインテル、マンチェスター・シティの指揮官を歴任し、前イタリア代表監督でもあるマンチーニ氏は、試合後の会見で「試合が終わったと思った」と理由を語っている。状況を勘違いさせるほど、衝撃的な試合展開だったのだろう。ちなみにヒーローのチョ・ギュソンも3人目のキッカーとして登場し、完璧な一撃を決めている。