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松本圭佑(右)の右のカウンターが面白いようにヒットしたが…最後に落とし穴が(写真・山口裕朗)
松本圭佑(右)の右のカウンターが面白いようにヒットしたが…最後に落とし穴が(写真・山口裕朗)

「近いうちに正式発表が…」プロボクシング界の“ミラモン”松本圭佑が日本王座を“冷や汗”V2

 プロボクシングの日本フェザー級王者の松本圭佑(24、大橋)が22日、後楽園ホールで同級1位の前田稔輝(27、グリーンツダ)と2度目の防衛戦を行い、3-0判定(96-92が3人)でV1に成功した。4回に右のカウンターでダウンを奪い、ポイントに余裕はあったものの、最終回にダウンを奪い返されるという“冷や汗”展開。“ミライモンスター”は、「最後に課題が出た。とても世界などとは言えない」と反省しきりだった。

 「集中力がふっと切れた」

 24歳になった“ミライモンスター”に最後の最後に“落とし穴”が待ち受けていた。
 世界挑戦経験が2度ある父の松本好二トレーナーは、自らが現役時代に平仲信敏と対戦した際に最終ラウンドにダウンを奪われ、逆転の判定負けで息子に受け継がれている日本フェザー級王座から陥落したことがある。
「オレと平仲の試合を覚えているだろう。気を抜くな。平常心だ」
 そう言って送り出したが、前田の左のカウンターをもらい、ダウンを喫したのだ。松本は、4ラウンドに右のショートカウンターでダウンを奪うなど、5ラウンドが終わった時点の公開採点は、3者が49ー45で、松本を支持し、ポイントには余裕があった。
「ヒヤっとした。ふわっと足が着地するタイミングで胸付近を打たれたパンチで効いてはいなかったけれど、ふっと集中力が途切れる悪い癖が出てしまった。僕の甘さ。勝ちたいという気持ちが強い分、緩んでしまった」
 左ストレートの被弾が続いたが、前田にはダメージの蓄積もあって決定打とはならず、松本は逃げ切りを果たした。しかし3-0判定を聞いても笑顔はなし。
「負けなくてよかった。12ラウンドになると仕留められる可能性もある。せっかくいい形できていたのに詰めが甘い。スピードのある前田選手に勝てたことは収穫だが、上を狙っていくには改善していかなくちゃいけない部分が出た」
 反省ばかりが口をついた。
 スピードに優れたサウスポーの最強挑戦者を相手に9ラウンドまでは圧倒した。
「意識したのは右ストレートを流れないで打つこと。前田選手は左カウンター、左のショートが上手いので、遅れを取らないように、こちらも、ショートに切って右を打ち、その後に当てさせないようにした。自然と体が動いた」
 右のジャブ、左のフックといったサウスポー対策をベースに、指名挑戦者用に特別に用意してきた右のショートカウンターが前田の左目を潰していく。
 4ラウンドに、その右でフラッシュダウンを奪い、徐々に前田の左目が塞がり、9ラウンドには、目の上をカット、頬側も切り裂いた。
「2、3ラウンドから左目を気にして弱気になっているのが見えた。いいパンチが当たると、フェイントで揺さぶっただけで、ふっと下がった。プロキャリアを積み、心理戦もだんだんとわかってきた。相手を復活させないために、ここを抑えろ、というところが直観でわかるようになってきた」
 松本はプロ10戦目にしてメンタルの駆け引きをつかんだという。

 

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