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大橋ジムに入門した坂井優太。ポスト井上尚弥の期待がかかる
大橋ジムに入門した坂井優太。ポスト井上尚弥の期待がかかる

“ポスト”井上尚弥への期待!アマ6冠&世界ユース金の“超逸材”坂井優太が大橋ジムとプロ契約

 プロボクシングの大橋ジムが7日、高校6冠で2022年の世界ユースで金メダルを獲得した坂井優太(18)とプロ契約を締結したことを発表した。スピード&ディフェンス能力が高いサウスポー。五輪かプロかの悩める選択の中で、4団体統一王者の井上尚弥(30、大橋)の助言に背中を押されてプロ入りを決意した。パワーをつけるなど時間は必要だが、将来的にスーパーフライ級、バンタム級で世界のベルトを狙える“ポスト”井上尚弥になる可能性がある逸材だ。6月にプロデビュー予定で、大物にふさわしく、早くもNTTドコモの配信サービス「Lemino」で独占ライブ配信されることが決定した。

 打たせず打つボクシング

 

 イケメンだ。すでに尼崎から横浜への引っ越しも済ませた“金の卵”は、父親で専属トレーナーとなる伸克氏(52)に付き添われて記者会見に臨んだ。
「打たれずに打つボクサーになりたい。足を使いパンチを打つ。アマ時代には倒すという考えはなかった。でもプロは8オンスでヘッドギアもない。スパーの感じでは、今のパンチでもタイミングよく当たれば倒れそう。プロで大幅にスタイルを変えることはない。夢?先のこと考えている余裕はない。決められた相手に勝って一歩一歩確実に勝っていかねばならない。まだ未来のことはあまり考えていない」
 ビッグマウスとは対極のコメント。パフォーマンス先行の格闘技かバラエティかわからないようなイベントが話題となっている昨今の格闘技界において新鮮で好感が持てる。
「覚悟もって来ている。甘い世界じゃない。そんな凄い実力もない。努力しないと負けちゃう」とも続けたが、真の自信の裏返しなのかもしれない。
 それは小学校1年の頃から二人三脚で歩んできた父親の教えだという。
「私が一戦一戦という話をしているんです。大きな目標や口ばかりではなく、まず中期的な設定する。それができなければ次の段階にいかない。もちろん、世界王者や統一王者などを思い描いているんだと思うが、それで成功してきましたから」
 父の伸克氏が横から補足した。
 名門の兵庫県立西宮香風高では1年からインターハイ、選抜、国体と2年連続で制して6冠を達成。2022年の世界ユースではバンタム級(54キロ)で金メダルを獲得し、日本ボクシング連盟の年間最優秀選手に選ばれた。世界ユースの金は日本人としては、すでにプロ入りしてOPBF東洋太平洋フェザー級タイトルも獲得した堤駿斗、弟の麗斗以来の3人目の快挙。パリ五輪の次の2028年ロス五輪の有力候補で、有名大学からスカウトが殺到していたが、昨年IOCからIBAの不正などが問題視され、ボクシングが五輪競技から除外される可能性が取り沙汰されたことなどが引っかかり、プロ転向に心が傾いた。
「目標のないところで頑張れないですからね」(父の伸克氏)。
 悩んでいた昨年6月に大橋ジムに出稽古に訪れた。
 井上尚弥とも一緒に練習した。
 東京ドームでネリと戦う4団体統一王者からは、こんなアドバイスをもらった。
「五輪でもプロでも、結局、自分の覚悟だよ」
 その言葉にも背中を押された。
 1週間悩んだ。
 父からも「プロに行くなら100%以上の覚悟を持て」とも言われた。
「精一杯できる方を選んだ。親子でボクシングできる環境を大橋も快く受け入れてくれた。世界で一番強いボクサー(井上)と練習をしたこともある。ボクシングは個人競技だが、ここのジムはチームでやっていてみんなで盛り上げているのが凄くいいなとも思った」  
 7月末に覚悟を持ってプロ入りを決断した。親子鷹で世界を狙う点も井上親子に重なる。
 スピードとセンスが光るサウスポー。
 本来は右利きだが「スポーツはサウスポーが有利」との父親のアドバイスでサウスポーに転向した。アマでは48戦で47勝1敗。高校生レベルでは、ほとんどのボクサーが右フックと左ストレートの餌食にされてつかまえることができない。
 大橋会長は2年のインターハイから“ポスト”井上尚弥として坂井に目をつけていた。
「サウスポーでディフェンス、スピードの完成度が高い。プロともスパーをやっていてかなり高いレベルにある」

 

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