井上尚弥が“仮想モロニー”でサポートした元K-1王者の武居由樹は5.6東京ドームで世界王者になれるのか…夢見る那須川天心との頂上対決
井上尚弥vs“悪童”ネリの東京ドーム決戦(5月6日)のアンダーカードで世界初挑戦する元K-1王者でプロボクシングのWBO世界バンタム級10位の武居由樹(27、大橋)が8日、横浜の所属ジムで記者会見に臨んだ。WBO世界同級王者のジェイソン・モロニー(33、豪州)に挑戦する武居は「バチッと倒して勝つ」と決意表明。モロニーは2020年10月に井上尚弥に米国で7回KO負けを喫しているが、その後6連勝している強豪。武居のボクシング転向9戦目にしての世界挑戦に時期早尚の声もあるが「互いに勝ち続ければぶつかれる」と同じく元キックボクサーの那須川天心(25、帝拳)との世界の舞台での夢対決に思いを馳せる。
「やれる可能性は1%だった」
武居はイタリア製の生地で仕立ててもらった新品のスーツで会見に臨んだ。
「やっときたなと。チャンピオンになるためにボクシングに挑戦しにきた。最高の舞台と相手を用意していただいた。振り返るとあっという間だったが、格闘技人生は長くやってきた。自分の集大成として挑みたい。序盤から強打を強振して倒しにいきたい。世界戦が決まり、周りの反響がいい。それが力になっている。いままでで一番ワクワクしている」
陣営は昨年から武居のモロニーとの世界戦交渉をスタートさせたが暗礁に乗り上げていた。大橋会長は「やれる可能性は1%だった」と言う。
東京ドームの舞台には上げたかったため、同時進行でOPBF東洋太平洋バンタム級王者の栗原慶太(一力)との試合を進めながらモロニーとの交渉を継続していたが、2月末に急転、合意に達した。
モロニーは29戦27勝(19KO)2敗の戦績を誇る総合力の高いオーソドックススタイルのボクサーファイター。飛びぬけたスピードや一発で倒すようなパンチ力はないが、ディフェンス能力は高くインファイトも苦にしない。左フックなどカウンター技術も高い。
「スピードとテクニック、経験も向こうが上。強い選手」と武居。
双子の弟のアンドリューは、WBC世界バンタム級王者の中谷潤人(M.T)に倒された元WBA世界スーパーフライ級王者。モロニーのキャリアの敗戦は、IBF王者で5月4日に西田凌佑(六島)が挑戦するエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)戦と井上尚弥戦の2つだけ。井上に敗れてからは、6連勝。その間、WBA世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(志成)とWBO世界ス―パ フライ級王者を争ったアストン・バリクテ(フィリピン)を3回TKOで下し、井上が返上したWBO世界バンタム級王座の決定戦では、中谷潤人の次戦の相手である同級1位ビンセント・アストロラビオ(フィリピン)を2-0判定で下している。アストロラビオは、井上と対戦する前のタパレスのスパー相手を務めたフィリピンの期待の26歳である。
マロニーについて井上は大橋会長に「もの凄く強かった。強いイメージしかない」と伝えたという。井上は、新型コロナ禍のラスベガスで対戦した際、6ラウンドに左フックのカウンターで一度目のダウンを奪い、続く7ラウンドに右のカウンターのストレート一発で仕留めた。至近距離のアッパーなどが効果的だったが、打たれ強く、危険な場面こそなかったが、攻略には手こずっていた。
ボクシング転向9戦目の武居が、そのモロニーに挑戦するのは時期早尚という声もある。大橋会長は「難しい相手」としながらも「楽なチャンピオンはいない。どのチャンプも強い、無謀、まだ早いといわれるかもしれないが、9戦目もKOで勝てば、全試合KO勝利のチャンプという凄いインパクトがある。予想外のパンチと運の強さに期待したい」と、その声に対抗した。