「きっとネリはいい奴ではない」井上尚弥が“悪童”ネリの“反省モード”に“偽装疑惑”を投げかけた理由とは?
プロボクシングのスーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(30、大橋)が9日、都内で写真集「NAOYA INOUE DOCUMENTARY PHOTOBOOK 2018―2023」(撮影/伊藤彰紀/集英社・定価3960円 B5判192ページ)の発売記念イベントを開催した。5月6日には東京ドームで“悪童”ルイス・ネリ(29、メキシコ)と対戦するが、先日の会見では“反省モード”できたネリに戸惑ったと明かし、「きっとあんないい奴じゃない」と、その改心に疑いの目を向けた。また早期のKO決着の可能性があることも示唆した。
「僕の方がタチが悪そうに見えた」
やはり井上尚弥は“悪童”の改心に戸惑いがあった。
この日、都内で約200人のファンを集めて行われた自身のドキュメンタリー写真集の発売イベント。そのトークショーの中で、6日にネリが緊急来日して行われた5.6東京ドーム決戦の記者会見での印象を聞かれ素直な感想を明かした。
「まずね。ネリがどういうモードで来るのかなと色々と想定していた。反省モードで来たかと思って(笑)。会見映像や写真を見たら自分の方がタチが悪そうに見える(笑)」
ネリは会見の冒頭で謝罪した。
「再び日本の地を踏むことができてうれしく思う。申し訳なかったと、まずは謝りたい。コミッション(JBC)、ボクサー、帝拳プロモーション…すべての方々に謝罪を申し上げます」
そして「今は集中してきちんと練習をしている。2度、裏切ってしまったが、節制して、きちんと調整をしている。グレートな試合をしたい」と完全な“反省モード”で対応した。
ネリが謝罪したのは、元WBC世界バンタム級王者の山中慎介氏との2017年、2018年と2度にわたる戦いで、一度目はドーピング疑惑、2度目は体重超過の失態を犯して、今回の試合に向けて解除されるまで、JBCから無期限の活動停止処分を受けていた“最悪の過去”。会見の途中で「井上をリスペクトはしているが恐れはしていない」「日本人の観客に何を思われようと関係ない」などの豪語もあったが、基本、殊勝な態度を貫いた。
「凄い行儀良くきたんで、ここに戸惑った。意外でした。もっと煽って、盛り上げてくるのかなと思ったけど、意外とそうではなかった」
井上陣営では、ツーショット写真撮影で、何か仕掛けてくるのではないかと、大橋会長と真吾トレーナーが、すぐそばで身構えていたほどだったが、完全に肩透かしにあった。井上は「過去の経緯はあるが、反省の言葉もあった。自分対ネリ。過去の因縁は持ち込まないように戦いたい」とまで口にしたのである。
だが、これらの反省モードが偽装である可能性も否定できない。
イベントのMCを務めたテレビ神奈川のアナウンサー増田美香さんが「それも作戦では?」と、絶妙の突っ込むを見せると「かもしれない」と同意した。
「きっとあんないい奴ではないと思う」
警戒心を決して解かないことを明かした。
この井上の観察力は鋭い。実は海外メディアに対しては、2度、インチキをして山中氏を倒したというのに「あの試合はイージーだった」と、日本のファンや山中氏の気分を逆なでるような発言をしていたのだ。