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ヤクルトの主砲、村上宗隆が”無双”の打撃でチームを引っ張っている
ヤクルトの主砲、村上宗隆が”無双”の打撃でチームを引っ張っている

球界大御所がヤクルトにマジック点灯のセ・リーグを一刀両断…「ヤクルトは独走Vする。巨人のメークドラマなどない」

 

セ・リーグのペナントレースはヤクルトが2リーグ制になって史上最短でマジックを点灯させ、独走態勢に入った。2位の巨人とは13.5差。巨人は、1996年には11.5差、2008年には13差を逆転したことがあるが、メークドラマ、メークレジェンド越えはあるのか。それともヤクルトはこのまま逃げ切るのか。巨人OBでヤクルトの元監督でもある球界大御所の広岡達朗氏に意見を聞いた。

「ヤクルトと巨人の違いは鮮明だ」

 ヤクルトが独走態勢に入った。

 2リーグ制導入以降、最短マジック点灯の可能性があった7月1日からの横浜DeNAとの3連戦。1日の初戦は打ち負けたが、2日の2戦目に延長戦の末、塩見のサヨナラヒットで逆転勝利してマジック「53」を点灯させると、3日の第3戦は中村の2本塁打、丸山のプロ初本塁打などが飛び出して11―4の圧勝。14カード連続の勝ち越しで貯金を「28」としてマジックを「51」に減らした。2位の巨人とは13.5差、3位の広島とは15差である。

 巨人OBでヤクルト、西武で監督として日本一に輝き、ロッテでGM経験もある“球界大御所の”広岡氏は、ヤクルトが独走することになった理由を「ヤクルトは投打のバランスがいい。よくやっている。だが、ここまでのゲーム差を2位以下のチームにつけるほど投打に抜きん出た戦力があるわけではない。つまり巨人、阪神を筆頭に他球団の体たらくが、この状況を作ったすべての要因なのだ」と厳しく分析した。

「投打のバランスがいい」という評価の内容は、こうだ。

「投手陣が頑張っている。小川も序盤は苦しかったが、完全に立ち直り立派な軸となっていてベテランの石川もゲームを作っている。私が特に評価したいのは中継ぎの2、3番手の安定感だ。そこで、我慢している間に攻撃陣が点を取る。逆転勝ちが多く、逆に逆転負けが少ないのは、そういうことだ。2軍に尾花投手コーチがいるが、彼がうまく投手を調整して1軍に送りこみ、投手戦力の1、2軍の循環がスムーズに進んでいることが背景にあるのだろう。ブルペンが疲弊してしまって勝ちゲームを落とす巨人とは対照的だ。高津監督の采配の“我慢“もあると思う。抑えのマクガフがしっかり機能しているのも使う側の我慢だ」

 ヤクルトのチーム防御率の3.01は阪神の2.82に次いでリーグ2位だが、救援防御率の2.56は阪神に並んでリーグトップ。交流戦では中継ぎ陣は11試合連続で無失点を続けた。

 マクガフにつなぐ中継ぎ陣が充実している。左腕の田口は今なお防御率0.00。梅野も防御率0点台で、清水、今野は1点台。大西、石山、コールらも安定感がある。  逆転勝ちはリーグトップの22試合あるが、さらに注目したいのは逆転負けが7試合しかないこと。巨人が16試合、阪神が18試合も逆転負けしているのに比べて対照的だ。先取点を奪った試合も34勝6敗1分けで逃げ切れる強さがある。

 広岡氏は、「打撃陣が投手陣の苦しいときにカバーした。だから阪神や中日のように投手陣が踏ん張っているのに勝てないというゲームが少ない。4番の村上がクローズアップされているが、彼の前に走者を置く展開を作れていることが大きい。特にリードオフマンの塩見の存在感が目立つ。盗塁もするしチャンスに強い。規定打数に達した3割打者は、村上と塩見の2人しかいないのに得点力が高いのは、いかにチームとしてチャンスに効率良く点を取っているかということだ。加えて長岡や内山、太田らの若手が自信をつけてきた。ベテラン、中堅、若手とチームバランスがいい。これも高津監督の我慢起用の成果。増田陸くらいしか若手の出ていない巨人との違いが鮮明だ」と言う。

 打撃10傑には.316で3位の塩見と.307で6位の村上の2人しかヤクルト勢はいないが、チーム打率.258、得点355、本塁打95はいずれもリーグトップだ。

 

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