「今永昇太はできる限り通訳を使わないようにしていた」米メディアはカブス今永の6回二死までノーノ―の鮮烈デビューを絶賛しグラウンド外の姿勢までを評価
カブスの今永昇太(30)が1日(日本時間2日)、本拠地のロッキーズ戦で鮮烈のデビューを飾った。今永は6回、92球を投げて毎回の9奪三振、2安打無失点。0-0でマウンドを降りたが、その裏にカブスが得点をあげて5―0で勝利し今永がメジャー初勝利を手にした。4年5300万ドル(約80億円)の巨大契約の期待に応える結果と投球内容にチームメイトや米メディアから称賛の声が相次いだ。
「並みの投手じゃない」最速151キロのストレートとスプリットが冴える
本家に負けていない“ショータイム”だ。今永がメジャー初登板で衝撃のデビューを果たした。デーゲームとはいえシカゴは気温7.2度。それでも半袖でマウンドに上がった今永は、記念すべきメジャー第1球に148キロのストレートを選びストライクをとった。メジャー通算215本塁打のブラックマンを相手に全球ストレート勝負を挑みセンターフライに打ち取ると、続くロジャースをスプリットで三振、3番の昨季20本塁打20盗塁をマークしているジョーンズには、この日、最速となる151キロのストレートで詰まらせショートフライに打ち取り、わずか12球で最高のスタートを切った。
圧巻は4回に3、4番をストレートで連続三振に斬った場面。2回に三塁の失策で走者を一人だけ出したが、なんと6回二死までノーヒットノーランを継続したのだ。だが、ブラックマンに低めにコントロールしたスイーパーをうまくセンター前へ運ばれ、メジャー初ヒットを許し、続くロジャースにもスプリットをセンター前は返されて一、二塁のピンチを招いた。
リグレーフィールドのファンは立ち上がって拍手を送る。今永は、その声援に後押しされてジョーンズを149キロのストレートで三球三振。今永は横浜DeNA時代のようにマウンド上で雄叫びをあげた。
ここで降板となったが、その裏、無死一塁から「2番・DH」の鈴木誠也がライト前ヒットでつなぎ、一死となってから4番のモレルのレフト前ヒットをロッキーズのレフトが後逸、さらに中継に乱れもあって打者走者のモレルまで生還して一気に3点を刻み、今永にメジャー初勝利をプレゼントした。
MLB公式サイトなどによるとカウンセル監督は、「今日の彼が素晴らしかったのは、いつも通り多くのストライクを投げたこと。そして彼は大舞台にいたことのある選手だということだ。彼は、これまでも、そしてまた今回も、そうしたことの一部を見せたに過ぎない」と称えた。今永がWBC決勝の米国戦で先発したことや横浜DeNA時代に奪三振王を獲得するなどしてきた実績を考えると、デビュー戦での快投も不思議ではないというわけだ。
チームメートからも絶賛の声が相次いだ。
バッテリーを組んだゴームズは「どれだけ彼がストライクゾーンでアタックしたかということだ。それこそが球種を変えゲームプランを実行していく上で楽しめたことだった」と振り返った。
センターを守ったハップは「素晴らしい初登板だった。彼が我々のチームにいることがうれしい。メジャーでは初登板だが、彼はこういう投球を長年やってきた。試合にどう取り組むかを本当に理解している」と、カウンセル監督同様の受け取り方をした。
また4番のモレルは通訳を通じて「チームメートに彼がいてよかった。彼と対戦しないで済むからな」とジョークを交えて今永に賞賛の言葉を送った。
米メディアも絶賛の嵐だった。
CBSスポーツは、「もしこの月曜日が何らかの兆候を示すのであれば、5300万ドル(約80億円)の契約はカブスにとって儲けものだろう」と今永の好投を伝えた。
「今永は高めのゾーンに信じられないほど浮かび上がる90マイル前半のファストボールを武器に日本でも結果を残してきたが、スプリッターが際立っていた。彼は24球のスプリッターを投げ、ロッキーズの打者は15スイングして12度の空振りをした。1試合のサンプルに過ぎないが、空振り率80%は桁外れだ」と投球内容を分析。
1996年5月6日にアマウリ・テレマコが作ったカブスでのメジャーデビュー投手の最長無安打記録に並んだことを付け加えた。