「やるべきことを突っ走ってきた」井上尚弥が5.6東京ドーム“悪童”ネリ戦へ向けてWBCの30日前計量をクリア…ベルト奪取10周年の日に思うこと
プロボクシングのスーパーバンタム級の4団体統一王者である井上尚弥(30、大橋)が5月6日に東京ドームで行われる元世界2階級制覇王者の“悪童”ルイス・ネリ(29、メキシコ)との防衛戦に向けて義務づけられている30日前の事前計量をクリアした。6日に大橋ジムの大橋秀行会長(59)が発表したもの。この日は、井上がライトフライ級で初めて世界王者となってからちょうど10年目の節目。「やるべきことを突っ走ってきたら10年が経過した。特にプレッシャーを感じることもなかった。強くありたいという気持ちがでかいのかな」と振り返り「今は凄いいい仕上がり」と現状を報告した。
試合1か月前のWBC規定の60.781キロをクリア
大橋会長は、体重計に乗っている井上の写真と共に「1か月前計量をパスしました」と報告した。WBCは選手の健康管理と体重オーバーによる興行中止を避けるため、世界戦に関しては厳格な体重管理を義務づけており、30日前に正規リミットの10%、14日前に同5%、7日前に同3%を超えてはならないことをルールで定めている。王者と挑戦者は、体重計測の様子を動画と文書でWBCに報告することになっている。55.338キロがリミットのスーパーバンタム級の井上とネリが30日前にクリアすべき体重は60.781キロ。井上が何キロでクリアしたかは明らかになっていないが、通常体重が61から62キロの井上にしてみれば、トレーニングを積んでいれば、自然と落ちる体重だ。
今回の対戦相手のネリが、バンタム級時代の2018年3月の山中慎介氏との世界戦で、2.25キロもの体重超過の失態を犯し、再計量でも1.3キロオーバーで計量をパスできずに失格となった “前科”があることから、ネリについては、特に厳重にチェックされている。ネリがクリアしたかどうかは発表されていないが、3月6日に来日して会見した際に、すでに60キロだと伝えていた。4月3日にXに投稿した体幹や首回りを鍛えていたトレーニング映像からすると、十分にシェイプアップされており、こちらも問題はないだろう。
4月6日は井上にとって初めて世界ベルトを巻いてからちょうど10年の節目の日だった。2014年4月6日にWBC世界ライトフライ級王者のアドリアン・ヘルナンデス(メキシコ)にプロ6戦目で初挑戦。6ラウンドにTKO勝利を収めて世界王座を奪取した。そこから10年で20試合すべてに世界戦を戦い、バンタム級、スーパーバンタム級の4団体統一を含めた4階級を制覇して無敗を守っている。
「4月6日は僕にとっての誕生日のようなもの。言われて10年なんだと気づきましたが、10年なんだ、という感慨はありますよ」
井上は、10年を振り返って、こう語った。
「やるべきことを突っ走ってきたら10年経過しました。この10年間、特にプレッシャーも感じることもなかった。試合前ごとに感じるプレッシャーはあるけれど、チャンピオンであるべきプレッシャーというのは特になかった。追いかけられているような感じもなかった。強くありたいという気持ちがでかいのかなと思う」
パウンドフォーパウンドの1位に輝いたボクサーらしい自負だ。
もちろん「1つ1つの試合に思い入れ、あの時、こうだったなとかはある」が、「まだ振り返ることでもないかなと。まだまだ先があるので」と前だけを向いている。