「個人的にはここから一息ついて野球に集中したい」語った直後に大谷翔平が“有言実行”の4号ソロで松井秀喜氏の通算175本に並ぶ
ドジャースの大谷翔平(29)は12日(日本時間13日)、本拠地のパドレス戦に「2番・DHで」で先発出場し、1回の第1打席で右腕のマイケル・キングから左中間へ4号ソロを放ち、松井秀喜氏の持つ日本人メジャーリーガー通算最多本塁打の175本に並んだ。大谷は5回にも二塁打を放ち日米通算1000安打も達成した。前日に元専属通訳の水原一平氏(39)が連邦当局に訴追され、大谷が潔白で被害者であることが明らかになった。試合前にロサンゼルスタイムズ紙の記者に直撃され「ここからは野球に集中したい」と語ったが、その直後の“有言実行”の一発となった。なお試合は延長にもつれこみドジャースが7-8で敗れた。
ロバース監督「ストイックな大谷は野球をしたいだけなんだ」
まさに有言実行だ。
前日に連邦当局は、水原氏を大谷の銀行口座から1600万ドル(約24億5000万円)以上を盗み違法なスポーツ賭博への「飽くなき欲求」のための資金調達に充てた銀行詐欺の罪で訴追。
検察官は「大谷が被害者である」と明かし潔白を証明した。大谷は違法のブックメーカー口座への送金を許可しておらず、当局が、大谷の携帯電話の提出を受けて、過去の履歴を調べたところ、スポーツ賭博などにも一切。関与していなかったことも判明した。違法スキャンダルは一件落着。この日のパドレス戦前にロサンゼルスタイムズ紙の記者の直撃取材を受けた大谷は「司法省の捜査にとても感謝している」と日本語で語り、アイアトン氏が通訳。「個人的にはここから一息ついて野球に集中したい」との心境を明かした。
その直後の1回にMVP2度獲得の大谷の集中力が発揮された。
パドレスの先発右腕のキングは過去2本塁打を放っている相性のいい投手。先発の山本がその立ち上がりに2点を失った裏の一死走者なしの場面で外角高めに投じられたストレートを逆方向のレフトスタンドに向かって高々と打ち上げた。山本を援護する4号ソロ。打球速度は107.3マイル(約172.7キロ)、飛距離403フィート(約122.8メートル)だった。その一撃は松井氏が持つ通算175本に並ぶメモリアルアーチとなった。おそるべき集中力だ。
大谷は5回にもレフト線にポトリと落とす二塁打を放ち、日米通算1000本安打を達成。同点で迎えた7回一死には、松井裕樹と対戦し、ライト線を破る二塁打をマークした。9回一死からの最終打席はセンターフライに終わったが、今季2度目の猛打賞。成績は16試合で打率.353、4本塁打、9打点となった。
大谷は、8日の試合前に取材対応して、巻き込まれた賭博スキャンダルや、水原氏がいなくなった影響について、こんな話をしていた。
「野球をやるときにそこのことを特に考えてはないですし、変な話、やってきた技術は、基本的には変わらないと思うので。まずはそれを信じてグランドの中でそれを100%表現するというのが僕の仕事。そこはグランドの外で何があっても変わらないことかなと思います」
自らが血の汗を流して積み上げてきた技術を信じ、そして驚異的な集中力を発揮する。全米を揺るがした賭博スキャンダルが一件落着したことを区切りに、さらに大谷のバットの勢いは止まらなくなるだろう。