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那須川天心がプロ転向4戦目で世界4位の強豪と対戦する(写真・山口裕朗)
那須川天心がプロ転向4戦目で世界4位の強豪と対戦する(写真・山口裕朗)

7.20両国で那須川天心が転向4戦目で世界4位のパンチャーと危険なマッチメイク…井上尚弥が東京ドーム決戦で作った空前のボクシングブームを「終わらせない」覚悟

 プロボクシングの「PrimeVideo Presents LiveBoxing9」(7月20日・両国国技館)の記者会見が31日、東京ドームホテルで行われた。トリプル世界戦が組まれた豪華興行だが、注目はキックからボクシング転向4戦目となる那須川天心(25、帝拳)とWBA世界バンタム級4位のジョナサン・ロドリゲス(25、米国)とのノンタイトル10回戦だ。敗れたものの前戦でWBAの挑戦者決定戦に抜擢された右のフックにKOの威力を秘める危険な相手。それでも天心は、この試合を世界挑戦の時期を探る“査定試合”と認識。「全部取るつもりでいる」と日本人が4人を占めるバンタム級の統一を宣言した。

 「世間をぎゃふんと言わせたい」

 天心はディオールの革ジャンにスカート風フレアパンツというモードファッションで会見の席に座った。ボクシング転向4戦目にWBA4位のロドリゲスという危険な相手が組まれた。
 当初は、OPBF東洋太平洋バンタム級王者の栗原慶太(一力)も対戦候補としてリストアップされていた。
「10回戦ならベルト(挑戦)でしょうとも思った。でも経験は大事。相手は誰でもいいけど、地域タイトルが目標じゃない。世界を獲らなきゃいけない。常に強い敵とやりたい。チャンプになるための心意気を持って強気のマッチメイクをしているつもりだが、納得したくない奴がたくさんいる。そういう世間をぎゃふんと言わせたい」
 天心は昨年4月のデビュー戦でいきなり日本2位の与那覇勇気(真正)からダウンを奪って判定で圧勝した。だが、同9月の第2戦は対戦相手が直前に変更となってメキシコの国内王者との対戦となったがKO決着とはならず、今年1月の第3戦は、WBA、WBO世界14位のルイス・ロブレス(メキシコ)を相手にプレスをかけて、ボディを効かせグロッキー寸前に追い詰めたが、3ラウンド終了時点で相手が右足を痛めて棄権するという“不完全燃焼”のTKO勝利。SNS上では、一部のファンから天心の実力を疑問視する声が飛び交っていた。天心が言う“世間”とは、そういうアンチの目だ。
 そのアンチを黙らせるイメージも固まっている。
「こんなに強いんだと。やばいじゃん、となるような試合をしたい」
 ただ20戦17勝(7KO)2敗1分の戦績を持つロドリゲスは、世界挑戦に後一歩まで迫った実力派で簡単な相手ではない。2戦前の2023年11月には、WBA世界スーパーフライ級王座を5度防衛していた強豪のカリド・ヤファイ(英国)とのWBAインターコンチネンタルバンタム級王座決定戦で1ラウンドKO勝利。右のオーバーフックでダウンを奪うと、ヤファイは立ち上がってきたが、そのチャンスにラッシュを続け、再度、右のフックをヒットさせたところでレフェリーが試合をストップした。
 この2月の前戦では、井上拓真が持つWBAタイトルへの挑戦者決定戦に抜擢され、同級2位のアントニオ・バルガス(メキシコ)と対戦した。バルガスからも、また1ラウンドに右のオーバーハンドフックでダウンを奪うものの、その後、反撃を浴びて7回の終了間際に右ストレートで、この試合、2度目のダウンを喫し、ゴングに救われたが陣営が棄権を申し出た。TKO敗戦となったが、その右のパンチは世界王者レベルで要注意だ。
 映像を見たという天心も「パンチがあってKO率も高く、勢いもある。目つきも鋭い。おもしろい戦いになる。一発があるので、どう自分の動きでかき乱していくか。ボクサーというよりMMAの選手のイメージ。1ラウンドにわあっと来る。いつも以上に1ラウンドは集中して距離を作りたい」と印象を語る。
 本田明彦会長は、「この試合の内容次第で、ある程度、来年の方向性が見えてくると思う。こちらが考えていた以上のスピードで天心は進化しているが、マスコミも含めて、周囲がすぐに結果を求めてじっくりと育てることを待ってくれないからね」と、あえて世界上位ランカーとの危険なマッチメイクに踏み出した理由を明かした。

 

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