• HOME
  • 記事
  • 野球
  • 交流戦最下位の阪神が抱えるもう一つの異変…2軍落ち大山の“代役”務める近本を苦しめる“4番病”
新4番の近本に異変が(資料写真)
新4番の近本に異変が(資料写真)

交流戦最下位の阪神が抱えるもう一つの異変…2軍落ち大山の“代役”務める近本を苦しめる“4番病”

 阪神が5日、甲子園で行われた楽天戦でまさかの逆転負けを喫した。1点リードで迎えた9回二死二塁から守護神の岩崎優(32)が小郷裕哉(27)に逆転2ランを浴びてジエンド。大山悠輔(29)、ハビー・ゲラ(28)が不調で2軍落ちした緊急事態に連敗した。岡田彰布監督(66)は、再三のチャンスがありながら2点しか奪えなかった不振の打線を嘆いた。交流戦に入って1勝6敗。まだ貯金1はあり、セ・リーグ3位はキープしているが、交流戦最下位は抜け出せないでいる。

 「あと一人」から守護神の岩崎が被弾で逆転負け

 甲子園に渦巻く「あと一人」の大合唱が一瞬にして消えた。
 2-1で迎えた9回二死二塁。
 守護神の岩崎がカウント3-1から小郷に外角低めを狙って投じた140キロのストレートは、逆球となりインコースに浮いた。
 小郷がスパっと振り抜いた打球は高々とライトスタンドへ舞い上がった。梅雨の時期が近づくと本来はライトからレフトへ吹く浜風が逆にセンター方向へ向かって吹くことがある。フェンス手間で押し返してくれるはずの風も味方してくれなかった。逆に風に乗って最前列に消えた痛恨の逆転2ラン。岩崎は腰に手をやったまま呆然と見送った。
 三塁ベンチでは今江監督が「想像もしていなかった」と笑顔で頭を抱えていた。岡山出身で子供の頃に阪神ファンだった小郷は「僕も言っていた『あと一人コール』を力に変えました」とヒーローインタビューで明かした。
 前日のゲームで3敗目を喫したゲラが2軍落ち。この日からWストッパーが解消され岩崎一人となった。先頭の小深田に許したヒットもボールが高く浮いており、開幕当初の調子は維持できていない。手元で伸びてくる本来のボールの質には程遠く、コントロールも不安定だ。
 その裏、今季からストッパーに転向した楽天の則本から先頭の代打の原口が死球で出塁した。原口は痛みをこらえて右手でガッツポーズを作っていた。“ピンチバンター”の梅野が1球で送りバントを決め、続く中野も四球を選び、サヨナラの走者も出た。前日に30球も投げていた則本の調子は決してよくなかった。優勝した昨季の阪神ならドラマを起こせただろう。だが、守備固めで2番に入っていた島田が4-6-3の最悪の併殺打。岡田監督がリクエストを要求したが覆ることはなかった。
 スポーツ各紙の報道によると、岡田監督は3敗目を喫した岩崎を攻めることはせず「2点で終わる打線があかん」と交流戦に入ってからの1試合の平均得点が1.7点という“眠れる打線”を問題視した。
 7回に1イニングに4投手をつぎ込んで無失点で切り抜けるという勝負手を打った岡田監督だが、ベンチ内で「2点じゃやられる」と予告していたという。
 打率が2割を切った大山が岡田監督に直訴する形で2軍落ち、佐藤、ノイジーと、3人もの優勝メンバーの主力が1軍にいないという異常事態の中で岡田監督は今季初めて前川を2番に置いた。その前川は、一回無死二塁から2番打者としての最低限の仕事である進塁打をセカンドへ打ち、水口打撃コーチが円陣を組んだ3回二死一塁からは、右中間を破る先制のタイムリー二塁打を放った。5回には一死一、二塁から価値ある四球を選び、森下のタイムリーにつなげている。岡田監督の策はズバリ成功したが、3点目が取れなかった。ブレーキとなったのは大山に代わって4番に抜擢されて4試合目となる近本だ。
 1回二死三塁、3回二死一、三塁、5回一死満塁という3度の得点機にすべて一塁ゴロに倒れた。4番に抜擢された時点で、打率、打点はチーム内でトップ、得点圏打率は、3割を超え、この試合に入る前にはリーグ3位の数字だった。大山に代わる4番は近本しかいなかった。もちろん近本は4番タイプではなく、岡田監督も応急措置的に近本を4番に置いている。だが、この日の3打席のブレーキでは、明らかに近本に異変が起きていた。

 

関連記事一覧