「BIG ON BIG(力対力)」全米を震撼させた大谷翔平vs164kmスーパー新人…三球三振→15号2ランのドラマが生まれた理由とは?
ドジャースの大谷翔平(29)とパイレーツの最速164キロを誇るスーパールーキーのポール・スキーンズ(22)が5日(日本時間6日)、ピッツバークのPNCパークで初対戦した。「2番・DH」でスタメン出場した大谷は、第1打席に全球160キロ超えのストレートで勝負されて三球三振を喫したが、第2打席には適応してバックスクリーンに15号2ランを叩き込んだ。第3打席にもライト前ヒットを放ち、MVP2度受賞の面目を保ったが、2人の力対力の対決は全米を震撼させた。試合はパイレーツが10―6で勝利し5回6安打8奪三振3失点のスキーンズが無傷の3勝目をマークした。
「スピードよりアングルやリリースポイントが特徴的」
7億ドル(1089億円)で契約した二刀流スターと全米のドラフト1巡指名で、最速164キロのストレートを武器に全米を席巻しているスーパールーキーの初対決は、メジャーの歴史に残る名勝負となった。
1回の第1打席。大谷は豪快な空振りを3度続けて三球三振した。初球は、内角低めに101.3マイル(約163キロ)、2球目は内角高めに100.1マイル(約161キロ)、そして3球目は外角高めに100.8マイル(約162キロ)。全球ストレート勝負だった。
MLB公式サイトによると、スキーンズはストレートを3球続けるつもりはなかったが「大谷のスイングを読み、ヒートアップして攻め続けた」という。2008年にトラックマンが導入されて以降、先発投手が全球100マイル(約161キロ)以上で三球三振を奪ったのは初の快挙だった。
「スポーツネットLA」のインタビュー映像で大谷は全球ストレートで3球勝負にきたことを「特にビックリはしなかった」と振り返っている。
MVP2度獲得の大谷は、デビュー5試合目のスーパールーキーに“完敗”したままでは引き下がらなかった。
3回二死一塁で迎えた第2打席。またしても初球の高めのストレートに空振りした。スキーンズは、ここから変化球を交えてきたが、カウント2-1から再び、99.5マイル(約160キロ)を超えるストレートに大谷のバットは空を切った。だが、次の内角へのストレートを見極めた。
「スピードよりも、アングルだったり、リリースポイントが特徴的だと思った。それを頭に入れて次の打席にいった」とは、試合後の大谷のコメント。
スキーンズは、スリークォーターとサイドハンドの中間くらいの腕の振りで、角度のないところからボールを投げ込んでくる。リリースポイントも、かなり打者に近い。おそらく大谷は、5つの空振りで、まったく歯が立たなかったストレートへアジャストするスイングの軌道やタイミングのイメージを完成していたのだろう。おそるべき適応能力である。
フルカウントからの6球目。真ん中高めの100.1マイル(約161キロ)のストレートをついに捉えた。高々と打ち上げた打球は、399フィート(約122メートル)と表示されたセンターフェンスを越えてバックスクリーンに消えていく。大谷は確信歩き。一塁ベースを回る際に、右手の人差し指を遠慮気味に掲げた。スキーンズがストレートを被弾したのは初。また大谷が100マイル(約161キロ)を超えるストレートを本塁打にしたのもメジャー移籍以来初だったという。
大谷は5回一死一塁の第3打席でも、おそらく見逃せばボールの外角高めの98マイル(約158キロ)のストレートをライト前にヒット。スキーンズとの対戦は3打数2安打1本塁打、1三振となった。
試合後、大谷は「素晴らしいボールでした。最初の打席なんかもあまり、いいスイングだったとも思えなかった。打てたのは良かったが、各打席で素晴らしいボールを投げていた」とスーパールーキーを称えた。