7.7両国で堤聖也が不幸の起きた穴口一輝戦以来のリングへ…「覚悟を持って」…WBA王者の井上拓真が12月の挑戦者に指名予定
プロボクシングの元日本バンタム級王者で現在WBA世界バンタム級2位の堤聖也(28、角海老宝石)が7月7日に両国国技館でウィーラワット・ヌーレ(22、タイ)と56キロ契約のノンタイトル10回戦を行うことが13日、主催の志成ジムから発表された。堤は同日に練馬区のダンガンジムで会見を行い意気込みを語った。WBA世界バンタム級王者の井上拓真(28、大橋)の陣営は、この試合の結果次第で、12月に予定しているV3戦の相手に堤を指名する考え。堤にとって世界挑戦の切符を手にするためにも絶対に負けられない戦いとなる。
オファーがあったのが約1週間前。当初、WBA世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(志成)とIBF世界同級王者フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)の統一戦のセミファイナルは、元WBC世界フライ級王者でWBO世界バンタム級1位の比嘉大吾(志成)のWBC挑戦者決定戦の予定だった。だが、急きょ比嘉は9月に元K-1王者でWBO世界同級王者の武居由樹(大橋)へ挑戦することになったために試合がキャンセルとなり、米国合宿中だった堤に参戦が打診された。
「次は世界戦だと思って練習していた。メインが統一戦で、井岡選手は、僕が高校生のときテレビで世界戦をやっていた人。そういう人と同じリングでできるのは光栄なこと。僕のヒーローと共演できる。純粋にそれがうれしい」
それが試合を引き受けた決め手だった。
相手のタイ人は、4月1日にノンタイトルのバンタム級8回戦で西岡伶英(川崎新田)に0-3判定で敗れている5戦4勝(2KO)1敗とキャリアの浅いボクサー。コンディション作りに失敗さえしなければ、世界上位ランカーの堤が負ける相手ではない。
だから堤も「世界前哨戦」という言葉を使わなかった。
「世界前哨戦と言っていいほどの相手ではない。半年以上試合が空いてしっかりとボクシングに向きあった。世界戦が次なら、その途中に挟むくらいの感じ。この試合が終わっても休むことは考えていない」
試合のテーマを「自分で納得できる試合」とした。
昨年12月26日に有明アリーナで行われた日本バンタム級タイトルマッチで堤は王者として故・穴口一輝氏(真正)と対戦した。その試合は、年間最高試合(世界戦以外)に選ばれる打撃戦となったが、4度ダウンした穴口氏が、リングを降りると意識を失い、救急車で運ばれて緊急手術を受けたが、2月2日に帰らぬ人となった。堤にとって、その試合以来のリングとなる。