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就任1年目の楽天の今江監督が覚悟を持って崩壊寸前のチームを立て直した(写真・黒田史夫)
就任1年目の楽天の今江監督が覚悟を持って崩壊寸前のチームを立て直した(写真・黒田史夫)

なぜ交流戦初優勝の楽天は借金「9」→「0」のV字回復を果たせたのか…今江監督の采配と4つの数字「37、2.29、21、12」が物語る理由とは?

 セ・パ交流戦で楽天が球団創設20周年目にして初優勝を飾った。16日に仙台の楽天モバイルで行われた広島戦に5-3で勝利。優勝を争ったソフトバンクが、みずほPayPayドームで阪神に1-4で敗れたため、13勝5敗でソフトバンクに1ゲーム差をつけて優勝を決めた。最大借金「9」まで落ち込んでいたチームは、そのすべてを返済し、勝率を5割に戻した。なぜ楽天はV字回復に成功したのか?

 名手菊池のエラーで先取点

 

 楽天の勢いが名手の手元まで狂わせた。2回一死一、三塁から8番の太田は、ショートゴロに打ち取られたかに見えたが、ゲッツーを狙った矢野の二塁への送球をゴールデングラブ賞を10度受賞している菊池が、グラブに当てて、なんと落球。信じられないミスから楽天が先制点を奪うと、さらに二死となって小郷の一塁線を襲うゴロを今度は堂林が追いつきながらエラー。股を抜けて転がった打球の行方を見失う間に2人が生還して3点をスコアボールに刻んだ。
 3回には「まさか自分がホームランを打つとは思っていなかった。内容は100点」という4番の鈴木大地がライトスタンドへ今季1号2ランを放ち、5-0とリードを広げた。この本塁打は、12球団すべてからマークしたというメモリアルアーチとなった。
 投手陣はブルペンデー。松井を3回でスイッチ。1イニングずつ6人を細かく刻んで、8回に1点を返されたが、5―1のまま、9回を交流戦で6セーブをあげているストッパーの則本に託した。則本は、3本の長短打を許して2点を失ったが、最後は小園のインコースにストレートをズバッ。則本が雄叫びをあげ、全員で勝ち取った最終戦勝利だった。
 午後1時試合開始の楽天が先に終わり、優勝を争う午後2時開始のソフトバンクの結果待ちだったが、阪神に1-4で敗れたことで1ゲーム差で楽天の優勝が決まった。
 スポーツ各紙の報道によるとロッカー内のテレビでソフトバンク戦を見ていたという今江監督は、「球団史上初もそう。こうやって歴史に名を残せたことを非常にうれしく思う」と笑顔で喜びを表現した。
 交流戦での印象に残っているゲームとしては、5年ぶりに福島ホームで開催した5月31日のヤクルト戦をあげた。1点を追う9回一死一、二塁から、右腕のエスパーダに代打の茂木をコールしたが、左腕の長谷川にスイッチすると、代打の代打のフランコを送り、劇的な逆転サヨナラ3ランが飛び出したゲームだ。
「ベンチの中で選択をかなり悩んだが、フランコが一発で答えを出してチームに勢いを与えてくれた。印象深い試合」
 交流戦優勝は、6月9日の中日戦を終え、9勝3敗となったところで意識し始めたという。 
 交流戦突入前の5月21日のソフトバンク戦で0-21で敗れ、翌22日にもまた0-12で敗戦し、19年ぶりに2試合で33失点という球団のワースト記録を更新した。24、25日の日ハム戦にも敗れて6連敗。借金は「9」まで膨らんでチームは崩壊寸前だった。まさに最悪のチーム状況で交流戦前に突入したはずが、なぜ借金を「0」にして初優勝を飾り、驚異的なV字回復を果たせたのか。
 パ・リーグの野球に詳しい阪神、ダイエー(現ソフトバンク)、ヤクルトでプレーした評論家の池田親興氏は、「4つの数字にその理由が象徴されている」と分析した。
 支えたのは交流戦で2位となる防御率2.29をマークした投手陣だ。

 

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