「ヤクルト、オリックス、楽天が(緊急補強の)調査に動いているが…」オイシックからNPB復帰できる“元戦力外の男”は出てくるのか?
セ・パ交流戦が終わり各球団が本腰を入れるのが7月末を期限とするシーズン途中の補強だ。そのチャンスを心待ちにしているのが今季からイースタン・リーグに新規参入したオイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブでプレーをしている10人の“元戦力外の男たち”だ。1軍傘下にないオイシックスはNPBに再挑戦できる選手を輩出することをチームコンセプトの一つとしている。初代監督に就任した橋上秀樹氏(58)に現状と可能性を聞いてみた。
元広島の薮田は防御率2.49でストレートは150キロ超え
意外と言っては失礼だが、今季からイースタン・リーグに新規参入したオイシックスは健闘を見せている。ここまで63試合で21勝39敗3分けで、予想通り最下位を独走しているが、借金18は、1軍のパ・リーグで最下位の西武の借金25よりも少ない。また同じく今季からウェスタン・リーグに新規参入した、くふうハヤテの15勝42敗4分けよりも戦績はいい。5月はロッテに3連勝するなど、8勝9敗2分けと勝率5割に迫る星勘定を残した。
開幕から4連敗。
「いつになったら勝てるのか」と嘆いていた橋上監督は、チームが、徐々に形になってきているという手応えをつかんでいる。
「母体がBCリーグのチームなのでプロのスピードやパワーについていくのに時間がかかった。やっとバッターの方が慣れてきて点を取れるようになったので多少は勝負できるようになった。元々ピッチャーに関しては、ある程度、戦力が整っていたんでね」
チームには1軍がなくファームだけの特殊な形態。オイシックスの母体は、BCリーグに所属していた新潟アルビレックス・ベースボール・クラブで、スポーツを通じた地域貢献をコンセプトとしていて、それは引き続き、今回ファームに新規参入した目的のひとつではある。そして、そこに加えてチームは、もうひとつの大きな目標を持っている。選手をNPBに送り出すという役割だ。
プロ未経験者は、今秋のドラフト会議を待たねばならないが、プロ経験者、いわゆる“元戦力外の男たち”は、即、NPBのチームと契約することができる。
オイシックスはチームの立ち上げに際して、プロ野球12球団合同トライアウトをチェックし“戦力外の男たち”を積極的に獲得した。
投手は、元広島で2017年に最高勝率タイトルを獲得している薮田和樹(31)、元横浜DeNA、巨人でセットアッパーとして通算121ホールド、23セーブをあげている三上朋也(35)、元オリックス、阪神の小林慶祐(31)、そして元オリックスの2013年ドラフト1位でBCリーグ時代からチームに加わっている吉田一将(34)の4人。17日には元中日、横浜DeNAで今季は台湾でプレーしていた左腕の笠原祥太郎(29)と契約した。
野手は、元阪神のドラフト1位で2016年に新人王を獲得した外野手、高山俊(31)、元ヤクルトの2018年ドラフト2位の外野手、中山翔太(27)、元巨人、横浜DeNAの内野手、田中俊太(30)、元オリックスの内野手、園部佳太(24)、そして元日ハム、巨人で米独立リーグでプレーしていた外野手の陽岱鋼(37)もいる。
セ・パ交流戦が終わり、各チームは怪我人やチーム状況に応じて緊急補強を本格検討する時期に入った。シーズン途中の補強期限は7月末。
オイシックスのこの10人に目をつけている球団はあるのだろうか。
現役時代にヤクルト、日ハム、阪神でプレー。引退後は、故・野村克也氏の元で、楽天のヘッドコーチ、巨人、西武でも“参謀”を務め、ヤクルトでは、2軍コーチの経験もあり幅広い人脈を持つ橋上監督は、「怪我人などで選手が足りなくなっているオリックス、他にはヤクルト、楽天らが(緊急補強の)調査に動いている」と明かした。