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大橋会長がMVPに選んだフライ級の田中将吾。1回のダウンから逆転勝利(写真・山口裕朗)
大橋会長がMVPに選んだフライ級の田中将吾。1回のダウンから逆転勝利(写真・山口裕朗)

日本屈指の“チャンプ製造所”が送りだした「ネクストモンスター候補」4人衆が揃って白星デビュー…大橋会長がMVPに選んだのは「浪速の激闘王」

 プロボクシングの「フェニックス・バトル117」が25日、後楽園で行われ、スーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(31、大橋)が見ている前で“ネクストモンスター候補”の4人が揃ってデビュー戦を白星で飾った。4人のうち、大橋秀行会長(59)がMVPに指名したのは、1ラウンドのダウンから逆転で判定勝利したアマ6冠の田中将吾(22)だったが、残り3人は、KOで存在感を示し、特に世界ユース金メダリストの坂井優太(19)はスタイリッシュなボクシングスタイルで異彩を放った。将来が楽しみな金の卵の4人だ。

フェザー級の大橋蓮はサウスポーのハードパンチャー。1回TKO勝利した(写真・山口裕朗)

ハードパンチャーのアマ2冠の大橋蓮は戦慄の左ストレート

 

 今や世界屈指のチャンピオンメーカーとなった大橋ジムが誇る“ネクストモンスター候補”4人衆のデビュー戦。先陣を切ったのはフェザー級6回戦で、1ラウンド2分34秒にTKO勝利した大橋蓮だった。
 スタンスを広めに構えるサウスポー。アタッチャイ・プラソエトリ(22、タイ)をジャブから左ストレートで、ぐらつかせると、最後は左フックを打ち込んでの秒殺だった「戦慄の左ストレート」の謳い文句通りのパンチ力をアピールした。
「8オンスのグローブで殴り合うことに憧れがあった。フィニッシュは覚えていないですが、気持ちよく倒すことできてよかった」
 2022年の全日本ライト級王者&最優秀選手賞、国体Vのアマ2冠。東農大の先輩で日本フェザー級王者の松本圭佑(25)とスパーを消化。「松本圭佑先輩にがんがん殴られまくった(笑)。それ以上強い選手はいない。あのスパーのおかげでしっかりと警戒することできた」という。
 髪型はパンクっぽく前髪を立ててワンポイントを金色に染めた。大好きな英国の人気ロックバンド「ワン・ダイレクション」の脱退したボーカルのゼイン・マルクの髪型を真似たもの。「アマ時代は髪を染めるのは禁止だったので」。その個性もパンチ力も魅力だろう。
 2人目は、浪速高で選抜、国体で優勝し、3年時にハバロフスク国際トーナメントで優勝。東洋大に進んでからは世界選手権に2度選ばれ、昨年の全日本選手権のバンタム級で優勝するなどアマ6冠の田中将吾。フライ級6回戦で、ただ一人相手が外国人ではなく、昨年の東日本フライ級新人王の高熊龍之介(25、松本ACE)という「骨のある相手」(大橋会長)との厳しいマッチメイクを組まれた。4人全員が日本人ボクサーにオファーしたが対戦を受けたのが高熊だけだったという。
 その田中将は、1ラウンドに相打ちで先にジャブをまともにもらい、まさかのダウンを喫した。ダウンはアマ時代に海外遠征で一度だけ経験しているが「内心焦った」。大橋会長も「やはり厳しいマッチメイクだったか」との後悔が頭をよぎったというが、「浪速の激闘王」の異名を持つ、このルーキーはただものではなかった。
「打ち合わずに様子を見ようと思ってしのいだ」
 1ラウンドのピンチを乗り切り、ダメージを回復させて、2ラウンドから、ジャブ、ワンツーから、上下を打ち分ける正統派のボクシングを繰り出して手数で圧倒。高熊に反撃の機会を与えない。
 2、3ラウンドとポイントを奪い返してダウンで失った2ポイントをチャラにし、4ラウンドでついに1ポイントリードした。だが、5ラウンドにまた高熊の左フックを浴びた。実は、ジャッジの2人は、このラウンドも田中将の手数を支持していたのだが、両陣営共に最終ラウンドを取った方が勝ちだと踏んでいた。
 田中将は「ヨシ!」と奇声を発してコーナーを出た。このラウンドはさらに攻撃の手を緩めず高熊に何もさせなかった。
 58―55が2人、57-56が1人の3-0勝利。
「勝てたことだけが救い。何ひとつ練習でしたことができなかった。ショックがでかい」
 試合後に田中将は神妙な面持ちだった。

 

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