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WBA王者の井岡一翔がIBF王者との統一戦に向けての練習を公開した(写真・山口裕朗)
WBA王者の井岡一翔がIBF王者との統一戦に向けての練習を公開した(写真・山口裕朗)

「照準はバム」本当に井岡一翔は7.7両国で2団体統一に成功すれば“最強”WBC新王者ロドリゲスとやれるのか…当日リングサイド招待プランも

 WBA世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(35、志成)が1日、東京目黒区の志成ジムで7月7日に両国国技館で対戦するIBF世界同級王者、フェルナンド・マルティネス(32、アルゼンチン)との統一戦に向けての練習を公開した。前日に米国でWBC世界同級王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(34、メキシコ)が元2階級制覇王者のジェシー“バム”ロドリゲス(24、米国)に7回KOで敗れて世代交代が起きたが、井岡は「しっかりとこの試合に勝って次の照準はバム」とパウンド・フォー・パウンドランキングに入っている新王者との3団体統一戦を熱望した。バムはエストラーダとの再戦条項があり実現は一筋縄でいかず井岡には、WBA世界同級暫定王者のデビッド・ヒメネス(32、コスタリカ)との統一戦の問題も絡むが、関係者は、気運を盛り上げようと試合当日のリングサイドにバムを招待する計画を練っている。

 

 井岡が公開練習に臨む22時間ほど前に衝撃的な王座の交代劇があった。WBC世界同級王者のエストラーダが7回に“バム”の鮮烈な左のボディショットをカウンターで浴び悶絶KOされたのだ。
「試合を控えているので」という井岡はSNSに上がってくるハイライト映像だけを見たという。
「一番、結果が気になっていた。結果が出た時、最終的に自分の中での照準はバム。まずこの試合に勝って3団体統一戦ができればいい」
 次なる照準をズバリ新王者の“バム”だと断言した。
 井岡は1歳違いでほぼ同世代のエストラーダとの対戦を望んでいた。
「ショックはない」というが、井岡が思い描いていたプランは崩れた。
「彼がアメリカで戦う姿を見て彼に勝って評価を得たいと思って復帰した。ストーリーとして彼とやるのがベストと思っていた。同世代というか、ずっと同じ時代を戦ってきて、勝って欲しかったという言い方はおかしいが、若手にも負けない姿を見せ、僕も(マルティネスに)勝って自分たちの時代の戦いの最後にエストラーダとできるのがストーリーだと思っていた」
 2017年の大晦日に一度引退を表明した井岡が再起を決めたのは、エストラーダとの戦いを求めたからだ。2022年の大晦日に当時WBA世界同級王者だったバムの兄であるジョシュア・フランコ(米国)と統一戦を戦った際には、エストラーダをリングサイドに招待。互いにエールを交換していたが、ドローに終わり、実現に“待った”がかかった。
 そのエストラーダが、リング誌のパウンド・フォー・パウンドの9位にランキングされているバムのスピードとパワーに圧倒され、4回には左アッパーを効かされ、右から左ストレートとつながるコンビネーションでダウン。6回に意地のワンツーでダウンを奪い返し「クレイジーな経験だった」とバムにいわしめたが、実力差は歴然だった。
 ただ井岡に未練はない。気持ちは、そのエストラーダから2度ダウンを奪い世代交代をアピールしたバムとの戦いに切り替わった。しかも、試合後にバムは「井岡とマルティネスの勝者と戦いたい」と発言。
「井岡が勝つと思う。日本が好きだし、できれば日本でやりたい」と、日本での井岡との3団体統一戦を熱望したのだ。
「もちろん(その呼びかけに)応えたい。負けたエストラーダの評価は落ちた。バムの評価が一番高いと思う。その彼を倒すことで自分自身が評価を得られることに変わりはない。僕は兄のジョシュア・フランコとも戦っている。縁というか、つながりもある。彼は(兄のセコンドとして)来日もしている。ストーリーは変わったが、やるべきことは変わらない。この試合をしっかり勝って、2団体を統一して、彼との試合を僕も望みたい」
 井岡はバムの兄のフランコと2度対戦。現在保持するWBAのベルトは、そのフランコから奪った。世代交代マッチ、兄のリベンジ…両者には新たな物語はある。
 ただバムとの3団体統一戦の実現は一筋縄ではいかない。バムはエストラーダとの再戦条項があり、エストラーダも試合後に「再戦したい」と断言し、そのオプションを行使する考えを明らかにした。

 

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