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フェイスオフではIBF王者のマルティネスが応援団のチャントに合わせて踊り出すハプニング(写真・山口裕朗)
フェイスオフではIBF王者のマルティネスが応援団のチャントに合わせて踊り出すハプニング(写真・山口裕朗)

今日ゴング!井岡一翔は“過去最強”の王者対決に勝てるのか…アルゼンチン応援団が吹かせる逆風と来場予定の次なるライバル“バム”の目線

 プロボクシングのスーパーフライ級の2団体統一戦(7日・両国国技館)の前日計量が6日、都内の品川プリンスホテルで行われ、WBA世界同級王者の井岡一翔(35、志成)と、IBF世界同級王者のフェルナンド・マルティネス(32、アルゼンチン)が共にリミット(52.1キロ)を一発でクリアした。井岡が「圧倒的な強さを見せて統一する」と言えば、応援団を引き連れて登場したマルティネスも「衝撃的な試合で夢を実現する」との意欲を口にした。また勝者との3団体統一戦を熱望しているWBC世界同級新王者のジェシー“バム”ロドリゲス(24、米国)が来場する可能性があることも明らかになった。過去最強の王者対決に井岡は勝てるのか。なお試合の模様はABEMAにて無料ライブ配信される。

 「大事なのは過去の経験ではなくこれからの挑戦」

 ショーアップされた計量会場が異様な雰囲気に包まれた。
 母国の英雄メッシのピンク色で背番号「10」の代表ジャージを着たマルティネスが登場すると、一番前の席に陣取った応援団が、母国の人気サッカークラブ「ボカジュニアーズ」の旗を振り回して、大きな声で同クラブの「チャント」を歌い出したのだ。
 現役時代にフロイド・メイウエザー・ジュニア(米国)と2度対戦し、その歯を折ったことで知られる元2階級制覇王者でプロモーターのマルコス・マイダナ氏が旗を持って音頭を取っていた。両者共に計量をクリア。写真撮影へと移ると、まだ司会者からフェイスオフの指示がなかったにもかかわらず、もうマルティネスの方が睨み合いを始めた。
 スチール用、映像用と2度セッティングされたフェイスオフで、再び「チャント」が響くと、そのリズムに乗せてマルティネスは、途中でダンスを踊り始めた。
「明日は戦争になる。グレートな試合をしたい。互いの国と国を背負ってく衝撃的な試合をする。歴史的な試合になると思う。夢を現実にしたい」
 マルティネスは自信ありげに吠えた。
 異例ともいえるバカ騒ぎに思わず井岡が苦笑いを浮かべていた。
「アルゼンチンの風習というか、サッカーの文化は自分にはわからないが、お互いの士気は上がっている。ボルテージは最大に上がっている。でも特に(違和感や試合に影響すると)感じることはない」
 当日も、かなりの数のアルゼンチン人が駆けつけ、同じようなサッカー型の応援をして逆風を吹かせるようだが、井岡は「我関せず」。何ごとにも動じない。それだけのキャリアがある。減量には早めに取り組み「過去最高と言っていいコンディション」の肉体に仕上げた。
 この試合に勝てば、世界戦23勝。スーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(大橋)の22勝を抜き、現役ではミドル級の“レジェンド”ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)に並び最多勝利タイとなる。
 だが、井岡は過去を振り返らない。
「世界戦の経験を生かして、今回の試合に臨むが、過去の経験より、これからの挑戦の方が大事。やってきたことにとらわれず、次の挑戦に向けての気持ちをより強く持って挑んでいきたい」
 そして「圧倒的な強さを見せて統一する。それだけ。必ず勝ちたい」と続けた。

 

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