「バレーの石川祐希には負けたくない」パリ五輪ボクシング代表の岡澤セオンが中央大の同級生ライバルとの金メダル競演を誓う…「彼は見えない努力をしている」
パリ五輪のボクシング71キロ級に出場する岡澤セオン(28、INSPA)と、同57キロ級代表の原田周大(22、専修大)が11日、東京北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで練習を公開、記者会見を開いた。セオンがライバル視するのは、中央大時代に寮も学部も同じだった同級生の男子バレー代表で主将を務める石川祐希(28、ペルージャ)だ。セオンは石川を「メダルを獲得する雰囲気がある」と認めた上で「負けたくない」と金メダル競演を誓った。
ボクサーとバレーボーラー。意外な組み合わせだが、セオンは中央大法学部時代に石川と寮も学部も同じの同級生。石川がボクシングの体験練習に来るなど、当時から親交があった。
競技こそ違えど、東京五輪に続いて共に、パリ五輪の出場切符をつかんだ。しかも、ネーションズリーグで47年ぶりとなる主要国際大会での準優勝を果たすなど、大躍進を遂げている男子バレーも、そして東京五輪後の2021年の世界選手権で金メダルを獲得したセオンも、今回は、堂々の金メダル候補としてパリに乗り込むことになった。
「刺激になりますよ。昔から同期の先頭を走っている。スポーツのことを話しても、やっぱり考えていることが、一個深いなあとか、一個上のレベルだなと思うが、同期なんで負けたくない」
つい最近もナショナルトレーニングセンターでの合宿中にバッタリ顔を合わせ、日を変えて食事を共にして語り合った。
昨年8月にイタリア合宿を行った際、現地のセリエAでプレーしている石川と連絡をとり「一緒に遊ぼう」と約束したが、直前になってドタキャンされ「あれは根に持っていますけど」と笑わせた。
トップアスリート同士だからこそ、わかりあえる親友ではあるが、人気も知名度も抜群の石川に比べて、五輪のボクシングはまだマイナー。その明るいキャラから、バラエティ番組に出演するなど、メディア露出の多いセオンでさえ、その立場の違いを痛感している。
「ネーションズリーグなどを見ていて『こいつメダル獲るな、結果出すな』という雰囲気を持っていた。これで(僕がメダルを獲れずに)負けていたら、石川の友達のアスリートっていう、一生バーター狙いのやばい奴じゃないですか(笑)。対等に(メディアに2人の)対談を組んでもらえるくらいに頑張らないといけない」
中継局が企画したゲストとしてネーションリーグを観戦にいった際に石川が率いる男子バレーが、パリ五輪で1972年のミュンヘン五輪金メダル以来、52年ぶりとなるメダルを獲得する予感がしたという。
食事会では、「懐かしい昔話」に、花が咲いたそうだが、印象に残った話があった。
「彼は細身だからフィジカル系のイメージないじゃないですか。でも話をしてみると、凄い筋トレをしていて、僕がやったことのないような特殊な器具で、凄い重量を上げている。見えないところで凄い努力をしてんだなあ。俺もやんないと、と思いましたね」
華やかなスポットライトを浴びている同級生の陰の努力を知り、セオンは、改めて自らの姿勢を見つめ直したという。
67キロ級で五輪初出場を果たした3年前の東京大会では2回戦で敗退した。大会前には「プロのアマチュアボクサー」を宣言。自ら営業活動を行い、スポンサーを説得して活動資金を集めた。今回も15社のスポンサーがついているが、「僕を信じて期待して応援して下さっている方々を全部裏切った」ことが悔しかった。